核武装せずにやって来れた日本

戦後、日本は核武装せずに他国から攻め込まれず、平和を保持できた。なぜか。憲法9条があったから、とノー天気なのは一部の左翼・お花畑論者にすぎない(その数がケッコウ多いのが問題だが)。

「日米安保条約に守られた」が常識的な認識だろう。米国はなぜ、安保条約を締結して日本を守ってきたか。日本を守るのが目的ではない。それが米国の国益にとって必要だった。

国防線は遠くにある方がいい。米国にとって、カリフォルニアなどの西海岸を国境とするほどナイーブな国防論はない。太平洋の西の端=日本列島を実質的な国境と定めるのが、より自国の安全を保つのに有利な道である。

米国は江戸時代末期からそう考え、日本を植民地化ないし半植民地化したい、と考えていた。残念ながら、太平洋戦争の勃発はそうした地政学的な構図の結果である。日本を手に入れた米国は以来70年、日本を属国化して沖縄をはじめ列島の隅々にまで基地を構築してきた。

日本にとって屈辱の歴史。だが、世界最大、最強の軍事力が日本の安全を保ってきたのは事実だ。「70年も続けば、この体制で良い」と多くの国民が考えるのは当然だろう。

日本が核武装はおろか、集団的自衛権の行使すらしない方が良い。こうした考えが過半を占めるのも自然である。

今の日本はどうか。世界経済がリーマンショック以来の危機に見舞われ、中国経済の失速が現実化する今、昨年末まで1ドル=120円以上という円安だった円は1ドル=113~114円である。今年初以来、確かに日経平均は急速な株安だが、株価下落はどこも同じこと。日本が他国と違うのは為替が急速に円高に向かっているという姿だ。

相対的に安全で、リスクが少ないのは「円」だという評価が世界に浸透しているからにほかならない。「後ろで米国が守っているからだ」と言われれば、その通りだ。

だが、その姿こそが日本の強さではないか。自由な国際秩序のなかでいつでも金を貸してくれ、高い信用のある円。それを軍事力を軸に裏側から米国が支えている。円が強いのは当然である。

だが、裏側から支える米国の力に衰えが見える。いざ、中国や北朝鮮が動きだしたとき、米国はどこまで日本を守るだろうか。この不安が少し持ち上がっているのが、現今、日本を巡る国際環境であろう。

そうなった時、日本が何もしなければ、軍事力のない経済国家は一挙に世界から底力を見透かされ、途端に日本は酷い目にあう、と考えて間違いない。
古今東西の過去の歴史が示している。

そうならないための国家戦略。それが核武装への意欲を明確に示すこと、なのである。

軍事力がないという理由で付け込まれるなら、「原爆を保有する」という態度を見せたほうがいい。日本には多くの技術力も経済力もある。核武装への「意思」を見せるだけで効果がある。

それは米国にバカにされないためにも必要なのである。アメリカ一辺倒に頼り切れば、アメリカからしゃぶられる(すでに相当、しゃぶられてきたが、今以上に日本を利用しようとするだろう)。

もし、バカして攻めてくれば、必ず戦うぞ。たとえ数百万人の戦死者が出ても、日本の独立と安全のためには戦うぞ。そういう意志を示さなければ、相手は舐めてかかってくる。

それほど日本を取り巻く国をはじめ世界各国は、知性も道徳も低い国が多いと考えておいて損はない。