都議会で議席数が変更へ。あのブロガー議員も落選危機 --- 選挙ドットコム

アゴラ

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日頃、「政治家」「議員」というと、国会議員をイメージされる方が多いのではないでしょうか?

しかし、「政治家」は国会議員だけではありません。皆さんの身近な政治家としては、「区議会議員」や「都議会議員」という存在がいます。東京都以外にお住まいの方の場合は、「市議会議員」や「県議会議員」ですね。

日本の首都であり、全国の自治体の中で最も人口も多く、経済規模も大きい東京都では、それだけ政治家の枠割も重要になってきます。東京都議会議員の定数は127名と多く、その待遇は国会議員以上とも言われています。普段はあまり身近に感じない存在かもしれませんが、自分たちの住んでいる自治体のルールを作る存在ですから、その役割は国会議員以上に大切かもしれません。

国会だけではない議員定数の増減

ここ数ヶ月、衆議院議員選挙における「一票の格差の是正」をめぐり、議員定数の増減が話題になっています。
これと同じことが、都議会でも起こっています。

例えば、豊洲エリアに代表される江東区は、近年で人口がどっと増えました。少子化が叫ばれているこのご時世に、豊洲では毎年、新しい小学校が作られているほどです。練馬区や江戸川区もベッドタウンとしての価値が高まり、人口が増えています

一方で、埼玉県との境目である北区は存在感をうまく発揮することができず、人口が減少へと向かっています。そうなると、衆議院で起こっている「一票の格差」が、東京都内でも起こることになります。北区の一票よりも、江東区の一票の方が少ない、という状況が生まれてしまうかもしれません。

「6増6減」の都議会

都議会では、6つの選挙区で議員定数が1名増え、6つの選挙区で議員定数が1名減ってしまいます。

増える分は問題ないでしょうが、減ってしまうことは有権者にとっても議員にとっても大きな問題です。単純に考えると、現職の議員で最も得票数の少ない議員が、次の選挙で落選してしまうことになります。

次回の都議会議員選挙は来年の6月と、気が付けば間近に迫ってきました。

定員数の変化

厳しい都議会議員はこちらの6名

東京都ほど大きな自治体になると、国政の影響も大きく受けますから、参議院選挙と同じく

・自民党
・民主党
・公明党
・共産党

といった、大きな政党の候補者が当選しやすい傾向にあります。
議席数が減ってしまうと、第三極や野党など、少数意見を代表している政党にとっては厳しい状況になるでしょう。実際に議員定数が削減される可能性のある選挙区で最下位当選となっていたのは、下記の議員になります。

大田区:柳ヶ瀬 裕文 42歳 日本維新の会
杉並区:小松 久子 63歳 生活者ネットワーク
新宿区:秋田 一郎 50歳 自由民主党
中野区:植木 紘二 72歳 日本共産党
北区:おときた 駿 32歳 無所属
墨田区:桜井 浩之 50歳 自民党

の6名です。(選挙ドットコムの都議会選挙の結果 http://go2senkyo.com/local/senkyo/9858

現職議員はどう考えているのか?おときた駿都議会議員のインタビュー

都議会議員の定数増減によって来年の6月の都議会議員選挙が厳しい状況になる可能性の高い現職議員は、心中も厳しいのでしょうか?そこで、定数が削減される可能性のある選挙区の中で、年齢が一際若い、北区選出のおときた駿都議会議員にインタビューをさせていただきました。

おときた駿都議会議員は「ブロガー議員」の異名を持つ、情報発信・情報公開に熱心な政治家です。

「定数が削減され、厳しい選挙戦になるかと思いますが、心境いかがですか?」

という質問はとても不躾で、他の政治家の方は答えてくれないでしょうが、おときた都議なら、きっと答えてくれるはずです・・・!

--議員定数が削減される可能性がありますが、賛成ですか?反対ですか?また、議員定数は、どうあるべきだとお考えですか?

おときた駿都議会議員
議員数は人口比に近いものであるべきと考えるので、議員定数の削減(調整)には賛成です。何をもって平等・理想とするのかは難しいところですが、やはり議員それぞれが中選挙区を勝ち抜いてくる制度では、どうしてもその議員は地域の「利益代表者」となる側面があります。

そのため、議員数が人口比と乖離すればパワーバランスが崩れるため、やはり可能な限り人口比に合わせるべきだと思います。とはいえ、現職議員からの抵抗は激しいものになると予想されますが…。

--やはり、現職の政治家ですと、定数削減には抵抗感があるのですね。その中でも音喜多都議は理想を追求されているのですね。では、もう少し踏み込んで質問させてください。少し意地悪な質問かもしれませんが、来年のご自身の選挙に向けてどうお考えですか?

おときた駿都議会議員
議員定数が減れば、選挙が厳しくなるのは当然です。ですが、我が身の保身を優先して議員定数のあるべき姿に反対するようでは、本末転倒と言えるでしょう。

少なくとも私個人としては、議席にしがみつく気持ちは一切ありません。変な話、一度民間に戻るようなキャリアがあっても良いとすら思っていますが、私のような議員は極めて少ないでしょう。

また単純に議席数が減れば、最下位の議員が自動的に議席を失うわけではありません。それによって投票者の投票行動も変わる可能性があるので、与えられた条件でベストを尽くし、皆さまにとって必要な議員であると認知していただけるよう努力します

「単純に議席数が減れば、最下位の議員が自動的に議席を失うわけではありません。」というのには驚きです。確かに、選挙区から1名のみしか受かるわけではなく、多ければ7議席もあるのですから、それぞれの候補者への票の分配も変わるのですね。

単純に、
自民党/民主党(民進党)/公明党/共産党

という順番に、「国政でも大きな議席を持っている政党が有利になるだけ」だと思っていましたが、議席の数が減ることで、「無所属」や「第三極」への期待が1人の候補者に集まることで、大きな政党以外の候補者でも当選できる可能性は少なくないのですね。

また、「一度民間に戻るようなキャリアがあっても良いとすら思っています」という言葉にも驚きです。この発想もありませんでした。政治家は一度議席を手に入れると、何が何でもしがみつくイメージを勝手に持っていました(笑)

言われてみれば、民間企業に勤めている人が議員になってもいいですし、逆に政治家が民間企業に勤めるようになっても問題ないですね。かえって、ビジネスと政治の世界が混ざる方が情報交換やノウハウの共有など、いいかもしれません。

音喜多都議のような議員は少ないとのことですが、皆さんも、自分の住む地域の都議会議員のことも、たまには考えてみてくださいね。

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編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。