伊首相訪問を、イランは西側外交の突破口にする

2016年04月13日 06:00

イタリア首相が制裁緩和以来G7首脳として初めてイランを訪問。イランは西側の一番弱いところを突いて突破口にする。あるいは米・英・仏への交渉のカードにするのがいつものやり方。第二次世界大戦後のイランは、イタリアと日本に米・英・仏よりちょっと良い条件を出して、カルテル崩しを図った。1951年にイランが石油国有化で、アングロ・イラニアン石油会社を接収。これに対して米・英・蘭はイラン石油禁輸で対抗した。イランから石油を買ったら、アングロ・イラニアン石油会社からの「盗品」だから拿捕・接収すると脅し、52年にスイスの会社が買ってイタリアの船会社のタンカーで積み出したところ、英海軍がアデン沖で拿捕、接収した。

1953年にはイタリアでエンリコ・マッティが石油会社を統合し国営炭化水素公社(ENI)を設立。イラン国営石油会社から石油を買いつけてヨーロッパ向けに売る交渉をまとめかけたところで、7大石油会社「セブン・シスターズ」の意を汲んだ米・英の妨害で断念。

こういった経緯があった上で、この年4月に『海賊と呼ばれた男』の出光佐三がタンカー日章丸で、制裁下のイランから初めて石油を実際に買い付けて運んできて売った。

イランから見ると、米・英・仏と関係が悪い時は、一方でロシアに、他方で独・伊・日本に接近するのが定石です。

また、日本と中国・韓国も競わせます。こっちで親日、あっちで親中をやってみせるのは当然のことです。

慌てることはない。


編集部より:この記事は、池内恵氏のFacebook投稿 2016年4月13日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された池内氏に御礼申し上げます。

 

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池内 恵
東京大学先端科学技術研究センター准教授

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