3D印刷とAIがモンダイなのだ

2016年04月14日 12:02

知財本部・次世代知財システム検討委員会@霞が関。
3DプリンティングとAIに関する議論。スマート化の次に来るIoT、AI、ロボティクスの時代に発生する知財問題という世界に先駆けての政策論です。座長として緊迫しています。

まずは3Dプリンティング。デジタル化によって本もレコードも映画もネットで流通し、バーチャル化します。この10年、それをどう扱うかを知財本部で議論してきました。3Dプリンターはそのコンテンツがモノに広がり、リアル空間に戻すもの。

3Dプリンターで拳銃を作ったかどで、武器等製造法と銃刀法で有罪判決が下った例のように、モノの生産がダウンサイズ化し、ソフトウェアやコンテンツに加えてハードウェアの流通が可能となり、既に問題が生じています。

間もなくスマホに3Dスキャナーが入るといいます。するとカギを撮れば自宅で合鍵がコピーできます。それは便利。だが、それは問題を起こします。
これらをどう扱うのか、が今回の議論です。

基本的には現行法で扱い得る問題であり、3Dデータのみを取り上げて知財の特別な保護策を講じる必要はないというのが議論の方向です。ただ、3Dデータでデザインが共創され、個人がメーカーとなる世界を広げるという方向性も共有されています。

水越委員から、この世界を活性化するため、侵害となる行為の明確化やプラットフォームの責任の明確化を求める意見がありました。そうですね。新しい状況に現行法をどう当てはめるかは、大事なテーマです。

福井健策委員は、カスタマイズ、デッドストック、小ロット高価品の商品領域にチャンスがあることを示しつつ、3Dデザイン=モノの無料アップロードなど、二次元の世界で起きたことと同様の事態を展望して制度設計すべきことを指摘。そのとおりです。

本件、論点整理まではたどりつきそうですが、そこからの政策方向性をどう据えるか。もう一段の掘り下げが必要です。

もう1つはAI論議です。

人口知能・AIが楽曲もデザインも小説も作り始めました。その生成物の権利をどう考えるか。人とAIの仕事の見分けがつかない創作物が爆発的に増えます。AIを使える者による情報独占や個人クリエイターの締め出しといった懸念をどう考えるか。

赤松健委員は、萌え萌えをAIがどんどん作って輸出すべきことを提唱、「キャラ立ちした創作キャラは民衆に守られるため、作者より強い」とし、登録したAIが作った創作物は収益を無税にするというパンクな提案!
これはAIに人格ならぬAI格を認めるプランでもあります。座長を悩ますパンクな委員を尊敬します。

つまり今回われわれには、AIによる混乱をどう抑えるかという点と、AIによるビジネスや表現をどう伸ばすのかという点とを、同時に解く論点や方向性を設定することが求められているのです。

福井健策委員は、AIを使って誰もが爆発的に生むコンテンツと、限られた着想者が生むAI創作物とのイメージを踏まえ、その爆発量をどう想定するかというポイントを提示。瀬尾委員は、AI自体に創作性がない以上、著作権で扱うことはその目的から離れることを指摘します。

川上量生委員は、人が作ったと言い張れば保護対象となるため、根本解決には全ての著作権を登録制に移行すべきという根本的なロジックを指摘。亀井委員は、裁判に任せればよいのではないかという、これも根本的な指摘。

いずれも重要なコメントです。これをどう落としこむのか。考え込みます。タイムスパンも重要です。目の前の課題、10年後の状況、2045年シンギュラリティのリアリティ、いずれも頭を巡らせて対応を考えなければいけません。

こんなことを政策論として正面から政府が論議するのは世界初でしょう。指標がないもんですから、実に疲れる行司役であることを、ご理解いただけると幸いです。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2016年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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