沖縄が米兵犯罪に過激に反応する隠された理由

2016年05月24日 13:40

沖縄の事件での報道やSNSでのやりとりを見ていると、本土の人は、なぜ、沖縄の人があそこまで過激に反応するのかに戸惑っているように思うので、解説したい。

現地の怒りは、合理的な理解を超えるとみえるのも無理ない。たとえば、警官や自衛隊員でもこうした不祥事は起こすが、警察消えろ、駐屯地移転とはいわないし、特定の在日外国人に凶悪犯罪が多いのは事実だが、帰れというのはよほど極端なネトウヨだけだ。

それなら、どうして、あそこまで盛り上がるかと言えば、米軍基地の存在について日頃は割れている沖縄の人々が、動機はさまざまだが、ひとつになって声を上げる希有な機会だからだ。

基地に反対するといっても、①軍事的に危険と思うから②米軍兵士の犯罪が心配だから(犯罪率は低いのだから感情的なものだが)③外国人でいかつい兵士はなんとなく怖いから(しばしば人種的偏見もある)④戦争の思い出がよみがえるから⑤中国・北朝鮮・ロシアの利益を害する⑥米軍を縮小して憲法改正して本格的な再軍備すべきだ、などさまざまだ。

また、反対しないといっても、①沖縄自身の安全を高める②それはどうか分からないが日本の安全を高めるから仕方ない③台湾や韓国の防衛に不可欠④軍用地賃貸料やビジネスとして恩恵が大きいし雇用も与えてくれる⑤アメリカ人が好きだ(基本的に沖縄の人はアメリカ人が嫌いでない)と、これも多様だ。

また、基地反対といっているが、どうせ実現しないから反対してる人もいれば、反対しないが後ろめたいと思っている人も多い。

しかし、この種の事件が起こると、誰もが日頃の立場の違いを超えて、オール沖縄で団結し抗議の声を上げられる。そして、この抗議運動が、過去の例からして、政府が沖縄支援策を積み増してくれるという実利もあることが火に油を注ぐ。

多くの沖縄の人が、米軍基地の最大の弊害としていうことが、沖縄県人が感情と実利のあいだで分断さてしまうということだ。この感情は合理的な思考をいくらしても否定できないものだ。そこは理解する必要があるし、逆に、本当に沖縄の人が基地撤去を熟慮の上求めているともいえない所以でもある。

ちなみに、基地に対する反対の声は、中国の台頭とともに加速した。中国を梃子にした経済開発で米軍基地がなくてもやっていけるという期待が高まったのだ。

しかし、それほど甘くはないと思う。金融などについては、タックスヘイブンを押さえ込もうという動きのなかで将来性はないと思う。また、そういう生き方は沖縄社会にとって非常な心理的コストを米軍基地よりはるかに深刻にもたらすに相違ない。

さらに、中国人が自由にしておいても大量に流入するだろうし、さらに、中国政府は意図的にそれを進めるだろう。結果は、半世紀もしないうちに、居心地の悪くなった沖縄の人々は本土に移り、沖縄は遠からずして中国人に乗っ取られるだろうということを忘れている。また、今後、中国人など外国人の居住が起こす犯罪が米軍兵士によるものより少ないことはあり得ないはずだ。

 そういう意味も含めて、事件の再発を防ぐといっても、必ず、ゼロにするようなできもしないことを政府は期待させるような約束はすべきでない。殺人事件にしろ、性犯罪にしろ、いじめにしても、酒酔い運転にしても、汚職にしても、ゼロにしろというのは努力目標としては当然だが。それを保証するのは、神でも無理である。

するべきなのは、可能性を有為に減らす実際的な工夫であって、その場しのぎの大盤振る舞いではない。そういう意味では、一昨日の投稿でも書いたが、基地内のアミューズメント施設の充実とか、米軍兵士も一般住民や観光客もコントロールを受けながら入って楽しめる、隔離されたゾーンでもつくったほうが、現実的な気がする。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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