米東海岸路線が開設されても羽田のハブ機能は向上しない

2016年07月06日 06:00

すったもんだの末に日米航空交渉がまとまり、航空会社の枠が配分され、ANAから羽田発初の昼間枠を利用したニューヨーク線とシカゴ線のダイヤが発表された。

なぜ羽田から北米路線を飛ばしたいのか、という理由は、もちろん関東在住者が成田まで行くより羽田から乗れた方が便利だから、ということである。

それと同時に、羽田は国内線が充実しているから、地方の住民にも乗継が便利でメリットがある、というようなことも言われた。例えばこの記事などだ。つまり、成田はハブ機能に欠けるが羽田だとハブ機能が生まれる、という言い方だ。

実際はどうなのだろうか。発表されたANAのダイヤを見てみよう。

東京 – ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)

発着地 便名 出発時刻 到着時刻
 

羽田発着

NH110 羽田
10:20
ニューヨーク
09:00
NH109  

ニューヨーク
16:55

 

羽田
21:10 + 1

成田発着 NH10 成田
16:40
ニューヨーク
15:10
NH9  

ニューヨーク
10:45

 

成田
15:00 + 1

 

東京 – シカゴ(オヘア)

発着地 便名 出発時刻 到着時刻
羽田発着 NH112 羽田
10:50
シカゴ
07:40
NH111  

シカゴ
16:15

 

羽田
20:30 + 1

成田発着 NH12 成田
17:05
シカゴ
13:45
NH11  

シカゴ
10:45

 

成田
15:10 + 1

(ANAのHPより一部改変して引用)

羽田の発着時刻を見てもらいたい。

両便とも羽田着便からの国内線乗継は不可能である。羽田発便にしても、最小乗継時間は70分なので、ニューヨーク便の場合、羽田に9時10分までに着く必要がありかなり厳しい。九州の空港は半分位アウト、北海道は千歳以外全空港不可能だ。

つまり、羽田発のアメリカ昼間枠便は、ほぼ関東住民の利便性向上につながるだけで、ハブ機能は持たないのである。

何故こういうダイヤになったのだろうか。それは成田便の時間帯を見るとわかる。

両便とも、成田着が15時頃、成田発が17時頃になっている。成田空港は北米と東南アジアを結ぶハブ空港として機能している。北米と東南アジア路線に絞れば、成田は仁川より遥かに上位のハブ空港になっているのが現実だ。

成田と東南アジアを結ぶ路線も、同様に成田着を15時頃、成田発を17時頃に揃えている。このように、北米と東南アジアの各路線が成田で乗り換えやすいように、各航空会社とも工夫しているのだ。

成田からの北米路線は、成田着便は15時頃だが、発便は17時頃と11時頃の2つのピークがある。これは、西海岸であれば17時頃に成田を出て目的地に行って15時頃に戻ることができるが、所要時間のかかる南部や東海岸路線は、11時頃に出ないと15時頃に成田に戻ってこれないからだ。

日本航空の成田発ボストン路線は、開設当初は成田午前発のダイヤだった。その方が機材効率はいい。なにせ新造のボーイング787を日本航空では最初に投入した路線である。機材は有効利用したいだろう。それなのに、今はボストンで約20時間機体を寝かせてまでして、成田夕方発に変更したのだ。それ位、成田のハブ機能は重要だと判断したのだ。

日本とアメリカの航空会社はここまでして成田ハブの機能を高めているが、ソウル仁川空港を利用する航空会社はこれほどの配慮はしていない。だから北米と東南アジアを結ぶ路線に関しては、仁川より成田の方がハブ空港として遥かに機能しているのである。

成田発11時頃というのは、関東住民が家を出て成田に向かうのにはちょうどいい時間だろう。しかし地方からだと、成田路線がある所以外だと前泊の必要が生まれる。こういう点で成田発は不便だった。

こうしてみると、ANAが成田から羽田に移管したのは、成田ハブを壊さない時間帯の路線だったということがわかる。成田朝便が羽田に移行されたのは、地方民にとって便利になったとも言えるが、それでもこのダイヤでは前泊しないと間に合わない地方は多く残っている。

結局の所、この羽田移管は、地方とのハブ機能の向上には結びついていないのだ。

前田 陽次郎
長崎総合科学大学非常勤講師

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