マーケティング部門の海外移転

2016年07月12日 10:14

先日バンクーバーでクルマを運転していたところ、ちょうど横に新しいプリウスが並走。思わず「ガン見」してしまいましたが、少なくとも格好いいとは絶対に思えないデザインであります。ところが日本ではバカ売れで受注残を大量に抱えています。北米におけるプリウスのイメージは「タクシー」で個人のテイストが出るクルマにならないと考える方が多いようです。確かにハイブリッドとしての性能は素晴らしいのですが、そのもてる潜在能力を全然出し切っていないのが新型プリウスではないでしょうか?

日本ではクルマの選択肢は燃費と価格だろうと思います。NYの自動車専門誌には自動車購入の決定事項として予算とともにどんな車が必要でどんな車が欲しいのか、であり燃費の「ネ」の字も出てきません。アメリカでは実用に即しているといいますが、この場合の実用とは家族構成や車が自分の生活とどのような密着性があるか、ということかと思います。カナダでSUVが異様に売れるのはアウトドア派が多かったり、運転席が高い分、女性が運転しやすいこともあるでしょう。

かつて日本が大量の商品を海外に輸出していた際、メードインジャパンを最大の価値と考えていました。この日本製の意味は日本で一気通貫、つまり、マーケティング、設計、デザインから製造、販売網の構築まですべて日本が牛耳るということでした。

ところが今では多くの企業が海外に進出し、売り上げの過半を海外に頼っているところが普通になってきています。それにもかかわらず、デザインセンターやマーケティングを海外に移管しているところはまだまだ少ない気がします。

テクノロジーの世界ではサンフランシスコ、シリコンバレーに多額の投資をする企業が増えてきていますが、日本の会社はまだ目立っていません。サムスンは2015年にシリコンバレーに360億円を投じてサンノゼ本部を作るなど優秀な人材の囲い込みと同時にトレンドを素早くつかみ、新製品に反映していく努力を重ねています。ところが、日本企業の場合にはようやく一部の大手企業がスタートアップを助成するといった初歩段階にとどまっています。

日本の製品は日本人が日本の環境で使うことをベースに改良、改善を重ねています。私は日本人としてはなるほどうまくできていると思う商品もたくさんありますが、海外で使うと「はて?」と思うこともしばしばあります。

100均のダイソー。バンクーバーにもありますが、同社がバンクーバーに進出してきたころは酷いものでした。日本にあるものをそのまま持ってきていたので海外では逆立ちしても使わないものが店先にごろごろしていたのです。「猛犬注意」という日本語のプレート、風呂のイスなど、なぜ、この商品がここに、と言いたくなりました。おまけに商品の説明が英語で書いていなかったのでこちらの人は袋の中身が何のためにあるのかさっぱりわかりませんでした。最近は少し洗練された気がするのですが、個人的には海外の生活を理解した上で商品開発をしたら同社は世界制覇できるのに、といつも思っています。

様々な人種がミックスしている国はそれこそマーケティングをするのには絶好の背景があると思います。また、国により重視している国策、例えば環境へのセンシティビティが商品やビジネスに反映されている場合もあります。例えばIKEAのビジネスポリシーは北欧、スエーデンのテイストが良く出ています。このような特徴をうまく取り込むことで新たなるマーケティングが可能だといつも思っています。

日本の商品は「改良型」が多いと長く指摘されてきています。「開拓型」ではなく誰かのアイディアをうまく改良するわけです。掃除機や扇風機のダイソンの商品の類似品は今やたくさんありますが、日本企業がダイソンを追い抜くような常識を打ち破る商品は出していませんね。

日本人が発想の転換ができないのならマーケティング部隊は外に出す、これが私は日本企業の世界戦略には欠かせない第一歩だと感じています。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、みられる日本人 7月12日付より

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