鳥越俊太郎氏を都知事にしてはならない

2016年07月15日 06:00

鳥越氏の安全保障に対する考え方がひどすぎるからだ。八幡和郎氏は次のように書いている。

鳥越氏の安全保障論はひどい。10年ほど前には緊張は緩和しているので防衛費は大幅に減らすべきだとと間が抜けたことをいったこともあるし、「そう簡単には戦争はできないものなのだ。そうした事から、中国の脅威といっても重大なものとは思っていない。ただ可能性として、中国が軍事力でやってくることはあるかもしれない。その場合は、日本の自衛隊が専守防衛の原則に従って行動し、侵略に対しては日本国民が立ち上がる。米国に助けてもらう必要はない」。つまり、いざとなれば、自衛隊を先頭に日本人が立ち上がって戦えば撃退できるらしい。徴兵でもするつもりなのだろうか?

前回のブログでエドワード・ルトワック氏は「尖閣領域などの離島の防備は自力でやるべきだ。米国に頼ってはならない」と言っていると書いた。

だが、それは米国との集団的自衛権が不要ということではない。ルトワック氏の近著「中国4.0」(文春新書)はこう指摘している。

中国の脅威(尖閣侵入など)に対処するには、日本には二つのことが必要だ。一つは、艦船や戦車といった物理的装備、つまり「ハード」だ。もう一つは……安全保障関連の法整備、いわゆる「ソフト」である。……軍事行動において正統性を担保しなければならないからだ。さらに、その軍事作戦がアメリカと協力できるものでなければならない。これにも集団的自衛権という「ソフト」が必要になる

つまり、基本的には日本が自力で島嶼防衛をすべきではあるが、集団自衛権によって日本と密接な防衛体制を築いておく事が、尖閣防衛に大いに役立つと考えているのだ。

鳥越氏のように自衛隊だけで守るとなれば、今よりはるかに多くの軍事費と自衛隊員体制を要するだろう。自衛隊だけで守るという鳥越氏と、集団的自衛権によって日米同盟を強固にするソフトと、どちらが日本の安全を保障できるか。

私には自明の理と思うが、鳥越氏はそうではない。鳥越氏を支え、集団的自衛権を否定するる民進党など野党の安全保障意識は鳥越氏と同様の、ずさんなものなのである。否、日本の有権者はその主張に引きづられている。日本国民の政治・外交的成熟を考える上でここは重要な問題なのだ。

ルトワック氏の「ソフト」論はこう書いている。

(アフリカ西部のマリ共和国での軍事的敗北を防ぐため)マリへの進駐をフランス軍に命じたオランド大統領は、その命令を電話一本で伝えた。日本がもし尖閣を守りたいのなら、日本のリーダーもこのくらいの意識が必要になってくる。より具体的に言えば「領土を守る」という国民的コンセンサスと、それを実現するメカニズム、つまり電話をとって自衛隊に尖閣奪還を指示できる仕組みの両方が必要になる

この主張を支持する有権者が過半数いれば、安倍首相は憲法9条を改正し、電話一本で自衛隊に尖閣奪還を指示できるようにするだろう。だが、「領土を守る」という国民的コンセンサスはまだ十分には確立できていない。だから、3分2の国会議員が衆参両議院でほぼ誕生した今となっても、安倍首相は9条の憲法改正に極めて慎重なのである。

だが、その方向に向かって動き出さねば日本の安全は守れない。だからこそ、東京という自治体政治と国政は異なるものの、大都市東京の治世を考えるうえで、鳥越氏のような都知事候補は否定しなければならないのだ。

鳥越氏は事実を無視、誤解、曲解することが数多く、実は政治家としてだけでなくジャーナリストとしても失格な点が目立つ。

彼は東京都知事選に立候補すると正式表明し、原子力発電政策についての考え方について問われた際、東京五輪招致の時に安倍晋三首相が福島第1原発からの汚染水が「アンダーコントロール(管理下)にある」と述べたことを「世界中にうそをついた」と断罪した。だが、以前、本ブログで書いたように、これは間違っている。

2013年9月の当時、菅義偉官房長官が「放射性物質の影響は発電所の港湾内にとどまっている。汚染水の影響が外洋に及ばないようにしていくということで、安倍首相は『コントロールされている』と発言した。「貯水タンクからの汚染水漏洩(ろうえい)など、個々の事象は発生しているという認識だ」と説明。東京電力も同じ見解だった。

このほか産経新聞論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏は鳥越氏のずさんな事実認識について、多くの事実をあげて批判している。一例を挙げると、こうだ。

鳥越氏は3月の記者会見でも、「安倍晋三政権はテレビ報道を神経質に気にしていて、監視チームを作ってチェックしている」と明言したが、これも証拠も証言も示しておらず、根拠不明で裏付けは乏しい。過去に新聞記者だったことが信じられないぐらい「事実」を軽視してはいないか

とても都知事としての力量、責任能力を持っているとはいえない。

ただ、対抗馬である増田寛也氏や小池百合子氏にも、私はあまり魅力を感じていない。同意見の有権者も多い。同じ保守派の増田氏と小池氏が票をつぶし合って、野党候補でタレント性の強い鳥越氏が優位に立つ懸念も強い。

日本の有権者の政治・外交的成熟度を占う意味も込めて、今回の都知事選を見つめたいとも思っている。

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