小保方晴子さんの失敗の轍を踏む鳥越俊太郎

2016年07月23日 09:00

週刊文春による淫行報道が出たとき、誰しもが鳥越俊太郎氏の歯切れの良いコメントが出るものと思った。しかし、弁護士にまかせてるというばかりである。 

本人の口からは、事実無根とはいっているが、「そんな女性は知らない」「知ってるけど別荘に二人では行ってない」「行ったけど口説いてない」「口説いたけど言葉でだけだ」のどれかも分からない(文春によれば質問書に対する回答で、知っていて別荘に行ったことは認めているが二人だけかは触れず、それ以上に口説いたりキスをしたことはないとしているそうだが鳥越氏から世間に対しては無言のままだ)。 

産経新聞の報道で記者たちと鳥越氏のやりとりが全文のっていたが、これを見て思い出したのは、小保方晴子さんだ。弁護士のいうとおり、損害賠償などの裁判になったときにマイナスにならないよう気を遣いノーコメントを通した結果、研究者としての誠意が疎かになり評価を下げて味方がいなくなってしまった。 

鳥越氏は政治家になろうとしているのだし、ダメならマスコミに戻るつもりなのだろう。しかし、どちらの世界でもこれでは失格だ。 

新聞記者に「実際に記事に書かれた女性と、当時は別荘にいったというのは事実なんですか?」と聞かれて否定すらせずに、「ま、そういうことも含めましてね、これはあの、裁判になったり法的な問題ですので、うかつに私の口から具体的な事実についてあれこれ言うのは控えさせてください。これはすべて、そういう問題については、私の法的代理人である弁護士の方に一任をしております。以上です。」としかいわない。 

「鳥越さんはジャーナリストなんですけれども司法の手に委ねるという、言論で返すということはお考えではないのですか?」などといわれ「いや、それはもちろんありますけども、とりあえずは、事実無根なのできちっと法的措置を取ることがまず大事だと思いましたので、そこから始めたいと思います」とするのみ。

「裁判になったり法的な問題ですので、うかつに私の口から具体的な事実についてあれこれ言うのは控えさせてください。これはすべて、そういう問題については、私の法的代理人である弁護士の方に一任をしております」ともいっている。 

「政治的な力が働いたみたいなことを先ほどにおわせてましたけれども」と書かれれば、「いやいやそれは、私のまあ、感想なので、あんまりそれは感想なので、事実を確認したわけはないので、それをあんまり強く言うことは控えたいと思います」とし、根拠は「カン」だという。 

候補者がこんなこと言ってるなら、支持している政党の幹部は厳しく問いただし、「国民にきちんと早く説明して欲しい。それできないなら推薦取り消しもある」というべきだ。ところが、鳥越氏のいうことを信じたのか、信じたいのか、なにもいわない。

しかも、蓮舫、山尾、吉良など人気女性政治家たちも、なにも疑うことなく応援を続けているのもまことに不思議である。彼女たちが率先して真相を自分で話すように求めるべきだ。

テレビ業界ではありがちなことだし、昔のことだから目くじら立てなくてもという人までいるが、テレビ業界でのセクハラなどの問題は世界的にいっせいにメスが入れられているのでそんなことですまないし、海外でおおいに関心をもたれそうだ。 

イギリスでは、BBC放送は元人気司会者で、昨年84歳で死亡したジミー・サビル氏が長期間にわたり少女暴行などを繰り返していた疑惑があるとし大騒ぎ。問題になっている事件は1960年代から90年代にかけてのものだ。 

アメリカのFOXニュースの会長兼CEOのロジャー・エイルズ氏は、ミス・アメリカでキャスターを務めていたグレッチェン・カールソンさんから、性的関係に誘われ、さらに、拒否したら解雇されたという訴訟を起こされ辞任。これは、別に無理矢理キスをしたとか言うのでもなさそうだ。 

オリンピック開催都市の知事がその手の疑いを掛けられているとなったら、世界的にも大恥になる。だからこそ、鳥越さんには、弁護士に対応をまかせて選挙の終わったあとの裁判ではじめて対応するのでなく、自分の言葉でしっかりいま説明をして欲しいところだ。 

なにしろ、サンデー毎日編集長として、宇野宗佑首相をそれまでタブーだとされていた追及の仕方で辞任に追い込んだ「ヒーロー」なのである。あのときのことは私も良く憶えているが、たれ込んだ女性と宇野氏の不適切な関係は事実としても、女性側の一方的な証言による生々しい口説きをいかにも品性がない表現もまじえ新聞社系の雑誌という、世間で不確かなことは書かないと信頼されている媒体で書いた。それと比べ、文春の表現は十分に抑制されたものだと思う。 

鳥越氏については、ほかに知事として不適切と思う材料は、政策や健康状態などいっぱいあるから、こんなことを争点になって欲しくないし、それであればこそ、舛添前知事の対応と似て、既視感がある弁護士任せなどにして欲しくないものだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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