首相にも知事にも原発を止める権限はない

原発の運転については、厳格な規制が存在する。原発の運転停止命令を出せるのは、原子力規制委員会だけだ(原子炉等規制法43-3-20-2)。首相にも都道府県知事にも、原子炉を止める権限はない。知事の権限は、原発を新設するときの建設同意だけだ。

問題の元凶は規制ではなく、それを無視して電力会社に法的根拠のない「お願い」をして原発を止めた菅首相である。鹿児島県の三反園知事も川内原発の「一時停止」を求めているが、法的根拠はないと認めている。「立憲主義」を叫んだテレビ朝日の元記者が、このような「超法規的措置」を電力会社に強要するのは、ヒトラーと同じではないか。

「避難誘導体制が完成するまで原発は再稼動できない」というのも嘘だ。これは都道府県の業務であり、電力会社に義務づけられているのは原発の保安規定だけだ。菅首相が原発を止めたおかげで、これまでに15兆円の化石燃料が無駄に燃やされたが、これを木造家屋を耐火建物にするなどの防災対策に使えば、東京で多くの人命が救える。

原発が止まっているおかげで、毎年GDPが0.5%失われている。このような供給制約が潜在成長率を下げているため、安倍政権がいくらバラマキ財政をやっても景気が回復しないのだ。もう選挙は終わったのだから、首相もエネルギー問題から逃げないで、法にもとづいて原発を正常化すべきだ。