ファーストクラスに乗る乗客の定説は間違っていた

尾藤 克之

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写真は丸山。現役CAであるため顔写真は非公開とした。

少し前に、ファーストクラスに乗る乗客の共通点や立ち居振る舞いについて話題になったことがある。同様の書籍も多数刊行されている。これについて、現役CAの丸山美子(仮名)は次のように述べている。

●ファーストクラスの乗客の傾向

「私はLCCに転職する前は、大手の航空会社に勤務をしていました。海外、とりわけ欧州方面のファーストクラスの担当をしていたことがあります。一般的に、『エコノミーのお客様は下品で非常識』『ファーストクラスのお客様は、優雅で素晴らしい』という風潮がありますが、それは少々間違っているように思います。」(丸山)

よく知られた話だが、イギリスのキャメロン元首相は、公務で航空機を利用するときは既存の航空会社を使い、プライベートな家族旅行ではLCCを使用している。また、LCCやエコノミーには、多くの経営ノウハウが凝縮されているので、気づきを得るために、経営者でも利用する人は少なくない。しかし人には様々な定規があることも確かである。

以前、元CAが開催するセミナーで「ファーストクラスの乗客は、気品があり、姿勢がよく、歯並びもキレイで、加齢臭もない」という話を聞いたことがある。その理由は、自分自身のセルフブランディングができていて実践しているからだそうだ。

私の経験上、確かにアッパーな乗客は多い。ファーストクラスは潜在的にドレスコードが存在すると言っても良いくらいだから、一流ホテルのそれと比較しても差し支えない。

本来のフラッグキャリアのCAは、路線にもよるが、顧客にどれだけの機内販売商品を売れるかが勝負であり、売れるCAはヘッドハンティングの対象にすらなる。さながら百貨店の外商部の様な光景が繰りひろげられる。また、この手の客層は身だしなみは良い。ファーストクラスの身だしなみが良いという視点には同意する。

しかし、当時話を聞いたとき、元CAがこのような発言をすることに違和感を覚えた。前職の名前を出すことで企業のイメージダウンにつながるのではないかと懸念したほどである。ファーストクラスを持ち上げて、エコノミーを蔑んでいるわけだから反発もあると考えた。

また、丸山は、ファーストクラスに乗る乗客は次のような傾向があったと述べている。

「ファーストクラスに乗るお客様は、世界の様々な一流と言われるサービスを経験されていていますから、CAに対しても余裕があります。そして、一流のサービスを経験されていたお客様が何をしていたかというと、『ずっと寝ていました』。食事やサービスを受けるよりも、誰にも邪魔されない時間を買っているのだと理解しました。著名な政治家や財界も、機内食はいただかずに寝ている人が多かったように思います。」(丸山)

●CAの評価が低い乗客の特徴

ファーストクラスのサービスは、実は超パーソナルであることに利用価値があるのだろう。上手い酒や食事よりも、隣に人が居ない事をなによりも望んでいるのである。「寝ている」という描写は極論かも知れないが、ある意味正しいとも言える。

最後に、CAの評価が低い乗客にはどのような特徴があるのか述べておきたい。実は、エコノミーであることは全く問題ではない。フリークエントの知識だけで待遇を得ようとしている乗客の評価が総じて低いのでご留意をのほど。

なお、新刊『007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術』は、「007ジェームズ・ボンド」が社内の理不尽に立ち向かう想定で書き起こしたマネジメント本になる。社内の理不尽に対してどのように立ち向かい対応するのか、映画シーンなどを引用しながら解説している。

尾藤克之
コラムニスト

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