勝利の方程式は野球場のビールの売り子から学べ

2016年09月05日 06:00

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野球場でビールの売り子と談笑する原佳弘。

暑い夏も終わり、プロ野球も終盤に差し掛かってきた。9月に入ったこの時期は夜もかなり涼しくなり野球観戦に相応しい季節となる。

そして、球場を彩る彼女たちの存在に気がつくはずだ。この時期は、選手たちとともに、野球場で奮闘するビールの売り子の仕事もいよいよ最盛期を迎えることになる。

■デキル売り子は楽しみながら仕事をしていた

原 佳弘(以下、原)は、企業の人材育成やコンサルティングを提供する研修会社を運営している。その中で、企業の販売員トレーニングのベンチマークを探していた時に、野球場のトップ売り子が目に入り、彼女たちのエッセンスから、販売員トレーニングのコンテンツなどを開発している。今回は、球場を彩る「売り子の実像」に迫ってみたい。

まず、売り子を指導する役割のことを業界では「チェッカー」と称している。売り子の仕事は、基本的には販売がメインではあるが、ビール樽のセット及び交換、カップ類、おつまみ、つり銭の用意、洗浄・清掃などをチェッカーさんのヘルプを借りながら行っている。そして現場に立つ前に、このチェッカーから教育がおこなわれる。

基礎的な知識から実演まで幅広い。ビールの注ぎ方、邪魔にならない販売方法、効率的なまわり方、団体客の探し方などの実践指導をしている。

「入りたての新人は1日の目標100杯くらいから開始します。1ヶ月くらいでスキルに差が生じてきますね。売り子でもトップクラスになると、10分で戻ってきます。1樽で25杯取れるようにセットしているのですが、1試合で10~12回くらいで戻ってくる勘定になります。10回なら250杯、12回なら300杯です。」(原)

新人が100杯とすると、トップクラスとは3倍の違いが出てくることになる。ビール1杯(700円)とした場合、100杯で7万円/日、300杯で21万円/日になる。1ヶ月同一球場での稼動は概ね10日程度だから、100杯の新人で70万円/月、300杯のトップクラスで210万円/月を売り上げてくることになる。トップクラスに上りつめる人にはどのような特徴があるのだろうか。

「お客様の動作や目線で感じ取れることが大切です。ビールが欲しい人であればそのようなジェスチャーやアイコンタクトを周囲に発信しているものです。通路を歩きながら、ジェスチャーやアイコンタクトを感じ取れることが大切です。」(原)

しかし、売り子に教えるのは基本的なアドバイスのみで、ほとんどが売り子自身でアレンジしたり独自に考えているものが多いそうだ。

「デキル売り子は、楽しみながら仕事をやっています。その雰囲気は球場にいながら伝わってきます。その後のスキルアップは、自分で考え、先輩から学び、各々で工夫しています。自主的に取り組む姿勢が大切です。」(原)

■自分なりの勝ちパターンを構築する

原によると、トップクラスの売り子であっても、そのスタイルや技術は各々異なっているそうである。例えば、球場全体を見渡してテキパキ動き回る人、団体客を見つけてあまり動かずに集中している人、積極的に話しかける人、馴染みの常連客を中心に回る人など、細かいディテールは大きく異なっているようである。

「先輩や売れている売り子がやっている方法を真似る人は多いですね。そのうえで、自分なりの勝ちパターンを構築していく。あとは試合状況や天候などがどのような影響を与えるのかを学んでいく。そのうえで何をすることが望ましいか考えてみる。結局は答えが無いのかも知れませんが、『考えて行動する姿勢』をつみ重ねることがレベルアップにつながるように思います。」(原)

野球場にはビジネスに転用できるエッセンスがつまっている。もし、野球場に行く機会があったら彼女たちの仕事ぶりに注目してもらいたい。また、高額紙幣を両替して持参いただくこともお忘れなく。

参考著書
研修・セミナー講師が企業・研修会社から「選ばれる力」』(DOBOOKS)

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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