台湾人は中国本土の国籍法適用?共同が報じた法務省の謎見解

2016年09月08日 06:00

共同通信が大変な誤解を招きかねない記事を流しました(配信先の日刊スポーツより)。

「法務省によると、日本国籍を選んだ時点で中国籍(台湾籍)を喪失したとみなされる。日本は台湾を国家承認しておらず、中国の国籍法にのっとり判断。同法は、中国国外に定住する中国人が外国籍を取得した場合、自動的に中国籍を失うと規定している。」

私も中国・台湾を扱う通商産業省の北西アジア課長というのをやっていましたが、従来の政府の考え方とまったく違う驚天動地の見解です。

台湾などに住む「中華民国」が発行する国籍をもつ人々が中華人民共和国の国籍法でもって処断されるとは初耳で、それが法務省の正式見解であれば日本に10万人以上もいるはずの中華民国籍の人々はパニックに陥るでしょう。

台湾の法的地位については、非常に神経質に、ひとつの中国原則という日中国交回復のときの建前を崩さないようにしつつ、実質的には台湾などで平和に暮らしている中華民国籍の人々の安寧を保つように苦労しているのです。そのために、あえて、あまりはっきりとした言葉にしないでいる部分もあります。

それを中華民国籍の人は、国籍選択をしたとたんに台湾の国籍を失ったと扱うというようなことにすれば、たとえば、日本とアメリカなどの二重国籍者は、日本国籍を選択してもただちにアメリカなどの国籍を失わないが、台湾の人だけは中華民国籍をなんらかの事情で援用しても「あなたは国籍選択によって中華人民共和国の法律に基づき中華民国の国籍をもっていないとして扱われます」といわれることになります。

おそらく取材に行った日中・日台関係の知識を持たない記者が聞きかじりで書いた記事でしょうが、全く言語同断です。

 

※画像は「投資網誌」サイトより引用(編集部)

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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