フランスで極右と社会党は手を結ぶ?

2016年11月29日 11:30
オランドVSルペン

共和党フィヨン氏優勢の観測の中、与党・社会党と右派国民戦線の動向が注目される(左はオランド大統領、右は国民戦線ルペン党首、写真はWikipediaより:編集部)

実質的な大統領選挙本番といわれた野党共和党の予備選挙はフィヨン前首相の圧勝に終わった。7人で争われた第一回の予備選でフランスの橋下徹チックなサルコジ前大統領が脱落。中道派チックでシラク元大統領の側近だったジュペ元首相と第三の候補といわれていた保守派のフィヨン元首相の争いとなったが、フィヨンがほぼダブルスコアで勝利した。

人口6000万人のフランスで438万が投票するという選挙としては大成功だった。勝負の決め手となったのはテレビ討論での落ち着いた態度と政策の具体性だったといえよう。

社会党はオランド大統領が諦めてないが、立候補断念に追い込まれるかも知れない。となると、ヴァルス首相が最有力となるが、マクロン前経済相も立候補する可能性がある。ただ、どちらにしても、上位2位になることは難しく、2022年以降に誰が左派を引っ張るかという前哨戦になるかも知れない。

これで、常識的には来年5月の選挙では、第1回投票でフィヨンと極右FNのルペンが残り、フィヨンが勝利するということになりそうだ。

しかし、単純でないのは、フィヨンの政策が非常に個性的だということだ。まず、外交政策では非常にロシアのプーチン大統領およびシリアのアサド首相と近いことだ。

プーチンとは彼が首相だったときにフィヨンも首相で、交流があり、プーチンは積極的に支援をした。ISと戦うためにもロシアやアサドと組むべきだと、トランプ以上に態度鮮明だ。フランスは従来、レバノンとの特殊な繋がりのためにシリアに冷たすぎたというのも真理なのである。

次に、彼は熱心なカトリックで同性婚に好意的でなく,養子縁組みなど廃止したいといっている。また、イスラム難民にも厳しく政策転換が予想される。

経済社会政策については、サッチャーを信奉し、非常に自由主義的だ。まず、35時間労働を廃止し、48時間上限として、どこからが残業かは労使の交渉にまかすという。公民は39時間とするが給与を引き上げるかは不明、大胆に公務員の数を減らすといっている。

医療保険は重病や長期のものに限り、ほかは民間保険にまかせたいといっている。歯医者、眼鏡などが除かれる様子。

社会保障は手当を一元化し、失業手当なども含めて、一人が重複してもらえるのを制限し、総額に天井を設けたいとのこと。「援助の罠」、つまり、社会手当が自助努力の妨げになっている現状からの脱出を強調。

税制では連帯富裕税の廃止、付加価値税の2%引き上げ、法人税の減税を主張している。

こうした主張に対しては、左派も極右も反対が予想され、もしかすると、シラクとルペン(父)の決戦投票となった時と違って、左派が極右にかなり流れることになりかねない。

どうも、全般的に世界の政治は、サンダーズとトランプが似ていたのと同じように、左派と極右の接近という傾向が強まってくるようだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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