海自UH-X選定で、海幕長を訓戒処分はおかしい。実は内局の不合理な圧力

2016年12月17日 18:00
海自ヘリ

海自UH-X現行機(海自サイトより:編集部)

ヘリ選定で特定機種誘導 防衛省、海幕長を訓戒処分(東京新聞)

海上自衛隊の次期多用途ヘリコプター(艦載型)の機種選定を巡り、武居智久海上幕僚長が特定の機種が選ばれるよう誘導したとされる問題で、防衛省は十六日、武居氏を訓戒処分にした。防衛監察本部は、業界関係者からの働き掛けは確認されなかったとしながらも、特定の機種を例示したことが公正性の観点から配慮を欠いたと判断した。

記者会見した武居氏は、「海自として不適切と指摘されたのは、組織を預かる者として反省している」と述べた。特定の機種を例示したのは「イメージしてもらうため、現有機種の名を挙げた」と説明した。

防衛省の報告書は以下の通り。

特別防衛監察の結果について(概要)
http://www.mod.go.jp/igo/inspection/pdf/special03_summary.pdf
特別防衛監察の結果について
http://www.mod.go.jp/igo/inspection/pdf/special03_report.pdf

これだけ、読むと真実はわかりません。

そもそも新多用途ヘリは、艦隊補給にしようするもので、大型で、より多くの荷物を運ぶものです。
で、候補が当初、SH-60K、MCH-101、NH90でした。

これがそもそもおかしな話で、SH-60Kは全く要求に合いません。

海自が既に導入して、整備も教育もおこなっているMCH-101が本命になるのが当然です。
国産に縛られないのであればNH」90以外にも少なからず候補があったのでしょう。

海幕長の判断は合理的です。
しかも60Kを選べば、海自のヘリは殆ど60シリーズになり、なには不具合が発生して地上待機になった場合に、海自の回転翼部隊は機能を停止します。しかも次期哨戒機も60系列です。

個人的にはかなり設計が古く、また水上不時着時の生存性が低い60系列よりもNH90を新型哨戒ヘリに採用すべきだったと考えます。

ところが、内局が、競争入札ができないと言い出し介入してきたようです

防衛省はオスプレイ導入時も単にティルトローター機というだけで、民間用で小型のAW609も候補だと
しゃあしゃあと主張していました。しかもAW609は未だに開発中の機体です。
両方共同じというのであればダンプカーも、軽乗用車もタイアがついているから、同じカテゴリーの車だとしゅちょうするようなものです。

報告では三菱重工の関与はなかったというが本当でしょうか。
単に内局が手続きだけを重視したのか、それとも三菱重工と繋がっているのかという疑いが持たれます。
先の空自のUH-Xでは調達単価が当初から2倍になることを分かっていて、空自はUH-60Jの改良型を選びました。常識機考えれば、限りなく黒に近い官製談合が疑われます。これに内局がかかわっていたのではないか。或いは内局と一部の将官、将校たちが結託して三菱重工のために働いているのではないか。

状況証拠を見る限り、そう疑われてもしかたないでしょう。

この件は鋭意調査中です。

そもそも論でいえば、オリジナルの4,5倍の値段をたしてライセンス国産する必要性はないでしょう。
これが日本のヘリ産業が、民間ヘリも含めて、内外の市場でそうおうの市場を取るべく努力してきたならば、防衛需要をスブリングボードに活用することもあるでしょう。
最近ではライセンス国産といいつつ、ほとんど単なる組み立て生産です。

ですが、70年台にBK117以来、民間ヘリはなく、官需にしても防衛省だけ。
消防、海保、警察、自治体ですらすべて輸入ヘリで賄っています。

つまり自立した産業となる意図も能力もなく、開発力もなく、税金を無駄に喰うためだけの存在でしかありません。

有事の生産云々はお笑い草です。
輸入コンポーネントが多く、また生産能力もなく、増産なんぞできません。
更に申せば、予備の搭乗員すらおりません。

むしろ、数分の一の輸入品に切り替え、予備機を増やし、部品デポを拡充し、メーカーにPBLで稼働率を保証させるほうがよほどマシです。

しかしまあ、メーカーの皆さんは恥ずかしくありませんか。お子さんに誇れますか?
「お父さんの仕事はね、国の税金を無駄遣いすることだよ」とお子さんにいえますかね?
メーカーの経営陣は皆さん、勲章をおもらいなっていますが、税金を食い散らかして勲章貰えるとは羨ましい商売です。対して現場で命を張っている自衛官は勲章すら貰えません。

なにか間違っているような気がします。

例によってこの件に関するブリーフィングも記者クラブ会員しか参加できませんでした。
記者クラブは防衛省のスキャンダルの防波堤でしかありません。

 

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

「駆け付け警護」は自衛官の命を軽視しすぎだ
http://toyokeizai.net/articles/-/146208

駆けつけ警護に関してJapan In Depth に以下の記事を寄稿しております。

自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
http://japan-indepth.jp/?p=31070
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その2 火力編
http://japan-indepth.jp/?p=31120
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない。その3防御力編 前編
http://japan-indepth.jp/?p=31185
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4防御力編 後編
http://japan-indepth.jp/?p=31379
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その5戦傷救護編
http://japan-indepth.jp/?p=31436


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2016年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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