ロボットスーツと「健康的な老化」

2017年01月06日 10:30

ロボットスーツに関する報道が相次いでいる。ニュースイッチは、12月6日に、大林組が建設現場にロボットスーツHALを導入すると伝えた。12月26日には、国立・仙台西多賀病院が「HAL医療用」を東北地方で初めて導入すると報道された。ロボットスーツではサイバーダインが世界をリードしているが、同社のHALが実用に供され始めたことがわかる。

米国SRIからのスピンアウト企業「スーパーフレックス」が開発中のロボットスーツに関する報道も多い。その典型は新年1月1日付の東洋経済オンライン。HALのようにガンダムに似た外骨格型ではなく、下着のようにやわらかく通常の衣服の下に着ることができるのがスーパーフレックスの特徴である。サーバーダインとの競争が進めば、よりよいロボットスーツが世界中で実際に利用されるようになるだろう。

ロボットスーツは人間の力を増幅する。建築現場では、HALを装着することで重量物を運ぶ際の腰への負担の軽減などが確認されたという。スーパーフレックスも介護現場で介護者の力を増幅し、また、障害者やアスリートにも利用可能だそうだ。

ニュースを読むうちに、WHO(世界保健機構)が提唱する「健康的な老化」の概念を思い出した。高齢者が持つ固有能力が衰え始めても、高齢者がなりたいと思う、やってみたいと思うことを実現するために発揮される機能的能力は必ずしも損なわれるわけではない。たとえば、固有能力としては移動に問題を抱える高齢者も、支援デバイスを利用し、また、公共交通の駅近傍に居住すれば、移動という機能的能力を維持できる。つまり、固有能力以上に機能的能力は拡張できる可能性があり、それを実現するために高齢者を中心に据えて技術やサービスを開発すべき、というのがWHOの主張である。

人間の力を増幅する装置が僕らの周りにたくさん存在する。たとえば、電話は声が届かないはるか遠方の相手との会話を可能にし、それがなければ実現しなかった新しい人間関係を築いた。増幅装置は、ロボットスーツが介護現場の介護者に役立つように、高齢者にも障害者にもそれ以上に多くの普通の人々に役立つ。世界で高齢化が進む中で、「健康的な老化」が実現するように、社会はロボットスーツのような新技術を積極的に受け入れてほしい。

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