日本老年学会が「高齢者」とする年齢を体力的な面などからも75歳以上に引き上げるべきだとする国などへの提言をまとめ、都内で発表し、話題になっています。
(NHKニュース)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170105/k10010829971000.html
昨年私たち若手議員からの提言でも65歳を高齢者というのはやめて、現役世代の定義を変えようと記述しました。
現在、統計上使われる生産年齢人口の年齢基準は15−64歳となっており、社会保障の将来を考えるときにもこれを基準に論じられています。その結果、2045年には一人の現役世代が一人のシニアを支える社会になるという話になっています。
これをもし、18-74歳に見直すと未来の景色が大きく変わります。
決して楽観しようということではなく、実際、15歳の多くが今の日本で現役社会人として働いているでしょうか。
そして、65歳以上は自動的に支えられる側というのが現実に合っているだろうかということなのです。
過去に決めた基準を現実に合わせて見直し、その上で将来を冷静に考えることが必要ではないでしょうか。
そして、冷静に見てみると70歳を超えて働く場合に意欲を削ぐ制度があることがわかります。
一つは年金の受け取り時期です。現在、60歳ー70歳までは選択可能であり、早期に受給する場合は支給額が割引され、後ろ倒しした場合は割増しされますが、70歳以上は選択できません。
二つ目は在職老齢年金制度です。
これは年金を受け取っている方が一定以上の収入を得た場合、年金の支給額が減額される仕組みです。
これでは元気であっても働こうという意欲が削がれてしまいます。
この点についても下記で紹介する提言に対応を記述しています。
ぜひ今回の報道を機に世論が盛り上がることを期待しています。
提言 レールからの解放から抜粋
新卒や定年なんて関係ない。「65 歳からは高齢者」なんてもうやめよう。現役世代の定義そのものから変えていく。
100 年を生きる時代だ。いろんな生き方、いろんな選択肢がある。
提言 人生100年時代の社会保障へ 抜粋
人生100年型年金 ~年金受給開始年齢の柔軟化~
今の年金制度は、財政面だけを見れば、十分に持続可能である。根拠無く「年金が破綻する」と批判することは無責任だ。政府は、年金財政が健全であることを国民にしっかり説明していく必要がある。
ただし、今の年金制度には大きな課題がある。2020年以降、健康寿命がさらに延びていく。人工知能やロボット等の技術革新に支えられ、高齢者はより長く元気に活躍できるようになる。
今後は、「40年働き、40年休む」という人生ではなく、より長く働くことを選択する方が増えていく。現在進められている働き方改革でも、より多様で柔軟な働き方が重視されている。
今の年金制度は、こうした働き方の変化に対応していない。例えば、定年を越えて働く高齢者は少ないと想定してきたため、現在の制度では、一定年齢を超えると保険料が納付出来なくなったり、働きながら年金を受給すると年金が減額されたりする仕組みになっている。
これでは、働き方改革が進展しても、年金制度が障害となって、働く意思や能力のある高齢者の就労を阻害してしまう恐れがある。
年金制度は、「長く働くほど得をする仕組み」へと改革すべきだ。例えば、年金受給開始年齢はより柔軟に選択できるようにする。年金保険料はいつまでも納付できるようにする。働くと年金が減額される仕組みは廃止する。
これらにより、1人1人のライフスタイルに合った年金制度を実現する。働き方改革と合わせて、こうした年金改革を実施することで、高齢者がより長く働くことが当たり前になる。
こうしたライフスタイルの変化を見据え、諸外国でも長時間かけて実現している支給開始年齢の引き上げ(受給開始の標準年齢の引き上げ)についての議論をただちに開始すべきである。
編集部より:この記事は、衆議院議員・小林史明氏(自由民主党、広島7区選出)のオフィシャルブログ 2017年1月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。