【一部訂正】“小池新党”初陣は苦戦?千代田区長選、票読み直し

2017年01月23日 19:00
都民ファースト

都民ファーストの会旗揚げで記者会見する、おときた氏ら(両角みのる都議のツイッターより)

小池都知事を支援する3人の都議が23日、会派名を「都民ファーストの会」に改め、おときた氏が幹事長に就任した。新会派は小池新党が旗揚げした場合の基盤となる。おときた氏の知名度がいまや全国区とはいえ、若干33歳の幹事長を看板に据えたあたり、驚いてしまったが、仮に夏の都議選で一定勢力を誇るまでになった場合、もう気安く「おときた君」などと言いづらくなるのだろうか(笑)。

しかし、「まさかのブロガー幹事長誕生」などとネタにして笑っているところではない。都民ファーストの会は、この週末、初陣となる都議選の前哨戦、千代田区長選を迎える。前回の記事で、過去の選挙の数字だけを元に激戦を展望したところだが、きのうの産経の記事で基礎票の計算を根本的にせざるを得ない最新情報が報じられていた。

千代田区長選 告示まで1週間 与謝野氏が追い上げムード(産経新聞)

気になるのはこのくだりだ(太字は筆者)。

「潮目が変わってきたと思っている」。信氏に推薦を出した自民都連の関係者は今月中旬、手応えを口にした。馨氏の選挙基盤だった同区内では、いまも「与謝野ブランド」が一定の票数を持つとされる。さらに関係者によると、千代田区議会の区議全25人中、約20人が信氏の陣営側に「支援する」と表明。その中には前回選で石川氏を推した区議も含まれる

与謝野陣営の関係者が産経記者に吹き込んだ情報戦という見方もあるだろうが、週刊文春の先週発売号では「区長派の区議はゼロ」という衝撃的な話を掲載していた。石川区長の求心力が、多選のイメージもあって前回より落ちているのは確かなようだ。

与謝野陣営にくみしなかった5人の区議のうち、3人は共産党だろうか。そして、ここがポイントだが、産経記事を読むと、あと2人が、「自主投票」(=不参戦)を決めた、とされる公明党の2人のようだ。

となると、無所属も含めて、ほとんどの区議が「与謝野派」になったことになる。その中には、当然、党本部で蓮舫代表が秋波を送っているはずの民進党の4人の区議も含まれるはず(本来はそのあたりも産経記事は明らかにしてもらいたいものだが、このあたりの政局的な切り口は報道各社に深堀りしてもらいたい)。

千代田区長選3氏

千代田区長選の立候補予定者(左から石川雅己、与謝野信、五十嵐朝青の3氏)=石川氏と五十嵐氏は公式サイト、与謝野氏は時事通信から引用

前回の記事で、与謝野陣営の基礎票として自民党の区議候補者がたたきだした8000票程度を目安としたが、仮に共産と公明以外の20人の区議が陣営に駆け込んだとなると(※24日1時:一部訂正あり。最後に追記します)、こういう数字になる(按分は除く)。

自民 (2会派)7092
民進 (2会派)2692
無所属(ちよだの声)1627
計 11,411

区議選の時の支持者がすべて投票するわけではないが、単純計算で1万票程度のゲタを履いていることになる。ここ最近の区長選は8000に届けば当選ラインであり、投票率の低い選挙においては、この数字だけで「圧勝」することになる。

とはいえ、小池氏は都知事の折、14,731票を叩き出している。もちろん、上記の数字の何割かとオーバーラップしているだろうが、石川陣営としては、連日、テレビでの露出が続く小池知事の人気をベースにしつつ、前回の記事にも書いたように、区内で2000〜3000程度いると推測される旧みんなの党の支持層をまず取り込みたいところだ。

そしてここ最近の国政選挙で安定的に2000以上はいる維新の支持層を取り込み、さらに選挙によって投票先を変えている層を巻き込むことができれば、活路は開けるかもしれないが、それらの支持層の多くは、区長選や区議選のような選挙にはこれまで積極的に行っていない可能性が考えられる。なにより組織としての形が見えないだけに、雲をつかむような戦いになるのは間違いない。

また、第三の無所属候補、五十嵐朝青氏が若年層を取り込む健闘をみせるかどうかも、石川陣営にとっては、気になる材料だ。都民ファーストの会は初陣を飾るのか、それとも自民党都連が都議選での反撃の橋頭堡を築くことになるのか、ますます過熱していきそうだ。

産経の記事の書き方では、情勢的には与謝野陣営が「追い上げ」という触れ込みだが、これまでになく重点的に情勢調査をしているであろう報道各社の書き方がどう変化していくのかも注目したいところだ。

(一部訂正:24日午前0時50分)その後、取材をしたところ、与謝野陣営に入っているとカウントした区議20人のうち、数人程度が石川陣営に入っていることがわかりました。そうなると、上記で見積もった与謝野陣営から石川陣営に2000程度スイッチしたと見積もります。基礎票では、与謝野陣営の多い見通しですが、かつてない劇場型選挙で投票率がアップした場合、やはり激戦になるのは変わりなさそうです。さて、あとは生数字、入手するしかないですね。

蓮舫VS小池百合子・書影

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民進党代表選で勝ったものの、党内に禍根を残した蓮舫氏。都知事選で見事な世論マーケティングを駆使した小池氏。「初の女性首相候補」と言われた2人の政治家のケーススタディを起点に、ネット世論がリアルの社会に与えた影響を論じ、ネット選挙とネットメディアの現場視点から、政治と世論、メディアを取り巻く現場と課題について書きおろした。アゴラで好評だった都知事選の歴史を振り返った連載の加筆、増補版も収録した。

アゴラ読者の皆さまが昨今の「政治とメディア」を振り返る参考書になれば幸いです。

2017年1月吉日 新田哲史 拝

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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