昭恵夫人名誉校長の学校“事件”を交通整理してみる

2017年02月24日 17:00

瑞穂の國記念小學院の公式サイトからは、すでに「名誉校長 安倍昭恵先生」の記載は削除された(編集部)

「森友学園」が小学校建設のため国有地を格安で取得した問題についてだが、問題はいくつもが重なり合っているので整理してとりあえずの見解をまとめておく。

①首相夫人は独自行動してよいか

安倍昭恵夫人が幼稚園の名誉園長だったことで首相まで攻撃されているが、それなら、夫人が辺野古に行ったり、原発反対派など環境派の人々と交流したり韓国へ融和的だったりするのも首相と違うとかずれがあるポジションのことはやるべきでないという論理的帰結になる。

私はあんまり極端でなければ首相夫人が少し違うポジションで社会的に動いても良いと思うが、都合の良いときだけ共同責任にしたりしなかったりして攻撃するのは良くないと思う。一言で言って卑怯だ。首相夫人としての立場を露骨に利用して行ったのでなければそれほど強く非難すべきことでもない。

ただし、現実にこのように政治利用する人が出てくるとなると、首相の反対派を喜ばしているようなものも含めて、全般的に独自の活動は抑制してもらわざるを得ないかもしれない。

②現段階では調査をすべきだが「疑惑」といえるかは不明

国有地売り渡しの是非については調査の必要性はあるが疑惑かどうかはそれからの問題だろう。安すぎるようにも思えるが財務局が不適正な価格で売り渡すような危険をおかす動機はないように見える。

しいていえば、首相夫人も関与しているというので、少し気持ちのうえで甘くした担当者がいたかどうかだが、(公務員経験者の勘としては)普通には考えにくいことだ。

③公益性の高い用途でも国公有不動産の安値での売却賃貸は補助金として扱うべき

しかし、そもそも学校法人をはじめ保育園や病院など福祉施設など公共性が高い施設に国公有不動産を著しく安く売ることはヤミ補助金で妥当でないのではないかという観点もある。(朝日新聞本社の用地だって問題だし、京都市が私立大学に随分安くで土地を売っているのも問題。売却だけでなく保育園に貸すなどの場合も同様)

公益に合致するからということは払い下げの理由にはなるが、安くするのが妥当かは疑わしい。それは地方自治体への売却でも同じ事だ。

1割程度の若干の値引きはありうるとしても基準を決めるべきだろうし、それを超えるものは政策的な補助金としてその是非の透明性を明らかにして行うべきだ。

今回の価格が著しく安かったとしたら、そもそも、学校法人にはこれまで甘かったということの延長線上にある可能性もある。

公益性の高い団体が現金で買うことは難しいというなら、保有不動産との交換という方法もある。

私は公共財産の超安値処分には公共目的でもおかしい疑問を持っていたので、これを機会に過去の案件も見直されチェックされるチャンスになると歓迎したい。

(追記)教育勅語についての私の評価は以下の通り。

教育勅語は明治20年頃に西洋化と伝統的価値観の調和をめざすために作成されたもので、その時代的背景を踏まえ妥当性があった。しかし、すでに明治末期には教育の基本とするには時代遅れといわれ、西園寺文部大臣が国際性や女性の重視を加えた新しい勅語の制定を図り明治天皇の了承も得ていた。それが、明治天皇の崩御で改正の機会を失い、逆に大正や昭和を通じて不磨の大典化されてしまって弊害も多かった。したがって、これを、戦前のようなかたちで復活することは論外だが、中国の古典や老舗の家訓と同じで間違ったことが書いてあるわけでないので、私立学校などでどういう扱いをしようが勝手だ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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