小池知事のレーニン的愚民主義

2017年03月02日 22:08

豊洲の騒動はくだらないので興味がなかったが、きのうの議会答弁のあとのぶら下がりは傑作である。都の「築地にも米軍の工場があって有害物質が大量に使われ、土壌が汚染されている可能性がある」という報告を受けて、記者団が「築地は大丈夫なのか?」と質問したのに対する答だ。

「基本的にあそこ(築地)はコンクリート アスファルトでカバーされている所なので問題はない」という言葉から論理的に導かれる結論は、「豊洲もコンクリート アスファルトでカバーされている所なので問題はない」ということになる。こんなナンセンスを都知事が語るとは考えにくいので、次のような解釈がありうる。

  1. 築地と豊洲のコンクリートは質的に異なり、築地だけは「絶対安全なコンクリート」でカバーされている。
  2. これまでの答弁との矛盾は承知の上で、どうせ都議やワイドショーにはわからないと思って嘘をついている。
  3. 彼女がバカである。

彼女は築地のコンクリートの特性について何もコメントしていないので、1は考えにくい。3も排除できないが、それでは答にならないので、2と考えるのが妥当だろう。つまり彼女は(かなり前から)矛盾しているとわかった上でこの問題を政治的に利用し、8月の都議選で多数を得てから方針変更しようとしていると思われる。

これは常識的には、合理的な行動とはいいがたい。こんな明らかに矛盾した話を8月まで議会答弁で維持できるはずがなく、そのうち破綻して責任問題になるおそれが強い。しかし新聞が中立を守り、ワイドショーが小池擁護で一致していることからみると、このまま強行突破をはかっているのかもしれない。千代田区長選挙の結果をみると、その戦術も間違いとはいいきれない。

ポピュリズムの鉄則は、徹底的に民衆をバカにすることである。彼らは(ワイドショーも含めて)常識では考えられないほど愚かなのだ。芥川龍之介の「誰よりも民衆を愛した君は 誰よりも民衆を軽蔑した君だ」という有名な言葉はレーニンのことだが、彼が成功を収めたことから考えると、小池知事も成功するかもしれない。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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