日本初、男性カップルの里親誕生の意義と今後の課題

2017年04月07日 06:00
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特別養子縁組支援を行なっている、フローレンスの駒崎です。

社会的養護分野に身を置く私にとって、重要なニュースが飛び込んできました。

どう画期的なのか

男性カップルを里親認定 大阪市が「全国初」社会の多様化反映(東京新聞)

親がいなかったり、虐待された子どもたちを、家庭内で養育する仕組みが里親制度。

これまでは、里親になれる人たちは「夫婦」に事実上限定されていました。

しかしよく考えたら、なぜ異性カップルのみ里親になれるのか。なぜ同性カップルに門戸が閉ざされているのか、理由は判然としていませんでした。

異性カップルだから子育てはちゃんとできて、同性だったらできない、ということは基本ないわけです。もしそうだとしたら、シングルマザーやシングルファザーは単一の性のみでの子育てという意味では同じですので、彼らの子育ても禁じなくてはいけないはずです。

実際、同性カップルが里親になることを妨げる合理的な理由はないので、多くの諸外国では同性カップルにも門戸を開いています。

大阪市はその「考えてみれば当たり前なんだけども、慣習的にそうなっていた」制度に、風穴を開けてくれた、と言えるでしょう。

同性カップルが里親になるメリット

「同性カップルが里親になれない合理的な理由がないのは分かるけど、わざわざ同性カップルじゃなくても良いのでは・・・」と思う方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、私は強く同性カップルにも里親になってほしいと思っています。なぜなら、例えば父親から性虐待にあっていた子どもを委託する場合、里親家庭の新しい父親に対して、子どもは非常に強い恐怖感を感じてしまうこともあるでしょう。

そういった場合、女性カップルの家庭への委託という選択肢があれば、よりスムーズな委託が可能になるでしょう。

また、子ども自身がLGBTや性別に違和感を持っているような場合も、同性カップル里親は強力な理解者となってくれるでしょう。

色々な子どもがいるのだから、色々な里親がいることは、むしろ利点があるのです。

これからの課題1:他の自治体は?

大阪で風穴が空いた同性カップルへの里親委託ですが、里親制度は、運営主体が都道府県や政令指定都市なので、それぞれで基準が違います。大阪市で同性カップルOKでも、現在、東京都は事実上ダメ、となっています。

大阪市にならって、他の自治体が要件を緩和するかどうか、が問われています。

開かれた里親制度にするためには、地方議員の方々には、ぜひ議会において「なぜ、同性カップルを除外するのか」という質問をして頂きたいと思います。市民の方々は、お住いの自治体に聞いてみても良いでしょう。

これからの課題2:同性カップルは、特別養子縁組はできない

里親に関しては法的な縛りがもともとなかったので、運用で同性カップルOKにすれば良かったのですが、特別養子縁組では法的に同性カップルは排除されています。

ちなみに里親というのは、家庭内で一定期間「預かる」仕組みで、法的には親子関係にはなりません。特別養子縁組は、実の親と縁を切って、養親と法的にも親子関係を結ぶものです。どちらも家庭で子どもを養育するので「家庭養護」と呼ばれていますが、特別養子縁組は制度的により「親子になる」度合いが強いものと言えるでしょう。

この特別養子縁組は、民法第817条で以下のように規定されています。

817条の3 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。

この「配偶者」は法的には「婚姻関係」にあるものに限られていて、日本には同性婚の仕組みがありませんので、同性カップルは排除されているのです。

里親が同性カップルに開かれるのであれば、特別養子縁組制度から排除する理由はありません。政府においては、一刻も早く民法を改正して、同性カップルも特別養子縁組によって、子どもを迎えられるようにしていくべきでしょう。

最後に

大阪市が投げたボールは、里親制度の運営主体である、他の政令市や都道府県に渡されました。さらには、民法改正を行える国会議員にも、渡されたと言えるでしょう。

LGBTでも、ストレートでも、誰もが養親として子どもを迎えられる、そんな社会になってほしい。そう、強く願っています。


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年4月6日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。

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駒崎 弘樹
認定NPO法人フローレンス代表理事

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