価格競争に巻き込まれない「オンリーワンの価値提供」

丸の内朝大学マネークラスのフィールドワークで訪問した東北の企業は、被災から復活した企業ばかりです。工場やお店を失い、ゼロから立ち上がった会社もあります。そんな逆境に陥ったにも関わらず、競合他社に負けない顧客からの支持があるのは、「オンリーワンの価値」を提供しているからです。

石巻にある木の屋さんは、鯨やサバの缶詰が主力商品ですが、食べてみると他社の商品とはクオリティがまったく違うことに気が付きます。水揚げされた新鮮な魚を港の近くの工場で加工するので圧倒的な鮮度です。そして、缶に身を詰めるのはすべて手作業。缶を開けた時に美しく見えるからだそうです。実際に中から身を取り出してみると、他社商品との違いが良くわかります。食べてみると、缶詰だからこそ鮮度が命であることを実感します。

だから木の屋さんの缶詰は大手の商品より高いのに、熱狂的なファンがいて震災の後にいち早く復興することができたのです。

蒼天伝を作っている男山本店さんも日本酒の高いクオリティに全国のファンがいます。震災の時には、沖縄から2000円のお酒に送料4000払って注文をしてくれたお客さんもいるそうです。東北の魚を食べるときに合わせるとキリッとした味わいが良く合う飲み飽きない味わい。これもオンリーワンの価値の提供です。

毎回お邪魔している斉吉さんも、他にはできない価値を提供しています。看板商品の金のさんまは、秘伝のタレで甘辛くふっくらと仕上げたさんまが熱々のごはんに良く合います。さらに、気仙沼で採れた新鮮な海産物を使った加工品や海鮮丼など、東京では食べられないお料理が絶妙な味付けで提供されます。今回もばっばの台所で東京では食べられない新鮮なお料理を堪能しました(写真)。材料の鮮度と、圧倒的な商品開発力によって、熱狂的なファンを生み出しています。

オンリーワンになるメリットは、価格競争に巻き込まれなくなることです。似たような商品を作っていると競合他社との価格が顧客の意思決定のポイントになります。すると値下げで顧客を獲得せざるを得なくなり、収益性は低下します。そうなると思い通りの商品・サービスが提供できなくなり、品質が低下して顧客の信頼を失うというネガティブスパイラルに陥ってしまうのです。

他社には提供できないものなら、価格に関係なく手に入れたいと思う人がいます。競合と価格で競うレッドオーシャン市場から、競合のいないブルーオーシャンに居場所を変えられるのです。

東北のオンリーワンの価値を生み出している人たちに共通しているのは、本当に自分の今やっている仕事に誇りと喜びを持っていることです。やらされている仕事ではなく、お客様にどうしたら喜んでもらえるかを真剣に考え、それを自分のやり方で実践しているのです。

オンリーワンの価値は、人のマネからは生まれません。自分が本当にどうしたいかを突き詰めて考え、本当に世の中の人のためになるかどうかに確信が持てることを、周りの意見に関係なく続けていく。そんな価値提供できるようになるためには、まず「脱・横並び」から始めなければなりません。「みんながやるから」「今のトレンドだから」と付和雷同するのは、安心なようで実は極めて危険なことなのです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。