トランプ米大統領、次期FBI長官にアノ人の関係者を指名へ

2017年06月08日 09:30

パリ協定離脱から、まもなく1週間が過ぎようとしています。そして、解任されたコミー前米連邦捜査局(FBI)長官の議会証言まで24時間を切りました。

パリ協定をめぐっては、シリア攻撃を決定した当時は解任の噂がまことしやかに流れたバノン首席補佐官をはじめ、経済ナショナリスト達が勝利した格好です。国家通商会議から製造業政策局(OTMP)へ格下げされホワイトハウスから通りを隔てたオフィスへ移されたナバロ氏、そのほかプルイット環境保護局長官、マクガーン法律顧問、スピーチライターのスティーブン・ミラー氏も勝ち組の列に並びます。

反対に長女イバンカ氏のほか、国家経済会議(NEC)のコーン議長、さらにはエネルギー長官のペリー氏が敗北を喫しました。イバンカ氏の夫であるクシュナー上級顧問は機を見るに敏で、妻と足並みをそろえパリ協定残留を目指したものの最後の最後でパリ協定への参加条件の修正案へシフトしていたといいます。夫妻はパリ協定離脱を発表したローズガーデンに姿を現しませんでしたが、ユダヤ教の祝祭日を理由に挙げていたのはご案内の通り。トランプ政権としては、ロシアゲートの捜査対象とも報じられたクシュナー氏寄りの政策に距離を置く必要があったのかもしれません。

長々と既報を並べて失礼致しました。

8日に予定する米上院情報委員会での公聴会で、コミー前FBI長官は当初の報道と裏腹にトランプ米大統領の行動が司法妨害にああたるか否か証言を控える見通しと伝えられています。それでもトランプ米大統領はFBI長官に誰を指名するかツイートし、話題をさらう戦術に打って出ました。

fbi
(出所:Twitter

その人物こそ、クリストファー・レイ氏。1992年にイエール大法律大学院を卒業後、控訴裁判所や民間で勤務した後で1997〜2001年にはジョージア州で司法次官補を、2003〜05年にはブッシュ元政権で刑事部門の司法次官補を歴任しました。ブッシュ政権では2002年に設立された企業詐欺タスクフォースや在籍し、エンロン・タスク・フォースをはじめ詐欺捜査を担当したといいます。現在は、法律事務所キング・アンド・スパールディングのパートナーだといいます。

レイ氏とトランプ米大統領を結ぶ点に、ニュージャージー州のクリスティ知事が浮かび上がります。クリスティ知事と言えば、側近がニュージャージー州とNY州をつなぐジョージ・ワシントン・ブリッジ(通称:ブリッジゲート)を故意に閉鎖し大渋滞を引き起こした問題で知られますよね。クリスティ知事の再選を支持しなかったニュージャージー州の玄関口、フォートリー市長への意趣返しは大いに非難を浴び捜査のメスが入ったものです。その時、クリスティ知事の代理人を務めた人物こそレイ氏で、ブッシュ元政権下で発生した大手製薬会社の会計操作をめぐり協力し関係を構築していきました。

検事時代にクシュナー上級顧問の父親を監獄へ追いやった過去が災いしクリスティ知事こそ閣僚メンバーに選ばれなかったものの、リスティ知事の側近は既に政権に取り立てられています。例えばビル・ステッピーン氏は政策ディレクターに、マット・モウワーズ氏は国務省入りしていました。クシュナー上級顧問はユダヤ教徒なので”坊主憎けりゃ袈裟まで”ということわざと無縁だったのか、そもそもトランプ米大統領がビジネス・パーソンで柔軟性に富むからなのか、あるいは人材不足でなりふりを構っていられなかったのか。

いずれにしてもコミー前FBI長官の議会証言前に、シリア攻撃当時よろしくニュースを提供してくれていることは確かです。カタール断交の件について自身の関与について言及していましたが、少なくとも情報の洪水で埋め尽くそうとする意図が感じられます。そう言えば、2016年に露大使と2度接触した疑惑を持つセッションズ米司法長官が3月にロシアゲート調査への関与忌避を表明した結果、トランプ米大統領の怒りを買い、司法長官辞任をちらつかせたとの報道まで飛び出しましたよね。情報が錯綜し過ぎて、フォローするのもひと苦労ですよ・・。

(カバー写真:Dave Newman/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年6月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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