無人機グローバルホーク導入中止を検討 馬鹿な同盟国は尊敬されない

2017年08月22日 06:00

グローバルホーク(防衛省サイトより:編集部)

無人機グローバルホーク導入中止を検討 費用23%増(朝日新聞デジタル)

上空から監視する無人偵察機「グローバルホーク」の導入について、防衛省が中止を含めて見直す検討を進めていることが分かった。導入を決めた際は3機分で約510億円と見積もっていたのが、米国のメーカーが日本向けに製造するには追加費用がかかることが判明。約23%増の約630億円にまで膨らむ見込みになったためだ。複数の政府関係者が明らかにした。

日本政府関係者によると、これまでは3機の本体と地上装置で計約510億円と見積もられていた。しかし、今年4月になって米国政府から「約630億円まで値上がりする」と連絡が入った。米軍向けの製造はすでに終わり、日本向けに取り付けるレーダーの主要な部品の在庫がないため、「メーカーが代替品を開発するために追加の費用がかかる」という説明だったという。合わせて、20年3月と見込まれていた最初の日本への配備も「21年7月にずれ込む」と通告された。
さらに費用がかさんで、当初の見積もりより25%以上増える可能性もある。防衛省関係者は「来年度以降、北朝鮮のミサイルを迎撃するための1基約800億円の陸上配備型新システム『イージス・アショア』の導入が始まるなど、今後も高額の装備品の購入が続く。費用の面ではグローバルホークの導入は極めて厳しい状況。あとは、政治決断だ」と話す。

はっきり言えば、安倍政権と防衛省が軍事音痴で間抜けだからです。
わざわざ古い仕様の役立たずを、アメリカ様からいわれたからと、キチンと調査もしないで導入を決めたからです。まるで田舎成金です。しかもかつては羽振りが良かった成金さんも今や青息吐息なのですが、昔の散財の癖が抜けていない。てな、感じです。

金遣いの荒いだけの成金は回りからカモだと思われても、尊敬はされません。

昨年度末にぼくが大臣会見で質問したときですら、どこの部隊で運用するかも決まっていませんとの大臣の答弁だったわけです。防衛省は何に、どのような目的でこれを使用するかもわかっていないということです。

キチンと、どんな目的で使用するのか、また費用対効果はどうなのかわかっていないのに調達を決定したわけです。これがプロの仕事でしょうか?ソ連ならシベリア送りでしょう。

だからカモにされているだけです。

自衛隊のグローバルホーク導入に以下の問題があります。

1)センサー類が古い仕様。

2)センサー類が洋上監視に向いていない。移動目標、真下以外の目標の探知が苦手。洋上運用ならばトライトンの方がマシ。

3)何を監視するかがよくわかっていない。

4)3機態勢では南西諸島監視だと1週間に数回、しかも一回あたり数時間でまるで対象範囲をカバーできない。

5)データが全部米軍に召し上げられて、生データを見ることができない。

6)費用対効果が悪すぎる。

7)データがリアルタイムで送れない。

ざっとこんな感じです。唯一のメリットは米軍が日本でグローバルホークを運用する整備拠点を確保できるだけです。つまりは自衛隊の予算を減らして、米軍と米産業に貢ごうとしていただけです。

南西諸島監視が目的であればヘロンTPクラスのUAVを沖縄の12機ほど配備する方が、余程役に立つし、調達、運用費用は数分の一、下手すると一桁違います。実はグローバルホークもヘロンTPもペイロードは大して変わりません。航続時間もグローバルホークが32時間に対してヘロンTPは36時間です。

しかもヘロンTPならばセンサー類、通信システム、そのインテグレーションは国内開発も可能でした。グローバルホークではそれは許されませんし、おまけにノースロップグラマンの駐在技術員の高い駐在費用も持つ必要がありません。

税金を無駄遣いして、自衛隊を弱体化するのが防衛省の仕事としか思えません。恐らく内局が過剰に「首相官邸の最高レベル」に忖度したからでしょう。

さて、今回の導入見直しですが、実行されない可能性も高いです。
防衛省は米国の一定比率以上について、価格が上昇した場合の、コスト超過時における見直し枠組み
(米国のナン・マッカーディ法を参考)を導入しています。(参照:防衛庁『装備品等の調達効率化に係る施策について』

ですが両者は大きく異なります。米国のシステムはかなり厳格に運用されていますが、実は防衛省のものはかなり恣意的です。これらは装備品等のプロジェクト管理に関する訓令(H27.10.1)取得戦略見直し等について(H28.4.8)です。(参照:防衛庁『防衛』

ナン・マッカーディ法では見直しは四半期ごとで、重要な不履行基準見積もり比は15パーセント上昇(当初基準比30パーセント上昇)、とるべきアクションは 45日以内に、計画の変更の内容やその原因等の必要事項を記載した不履行通知書及び当該4半期の取得計画報告を議会(下院)に提出。

クリティカルな不履行は、準見積もり比は25パーセント上昇(当初基準比50パーセント上昇)で、とるべきアクションはコスト上昇の根本原因分析を実施し、事業を継続する場合、60日以内に、国防長官から議会(下院)へ同分析を提出するとともに、以下を証明し、承認の可否を問う。

・安全保障上の不可欠性
・事業のコスト増を賄う他の事業より優先順位が高いことの証明
・コスト・コントロールを実施する枠組み 等

継続の要件は、議会(下院)の承認が必要です。

対して防衛省のものですが、見直しは毎年度ごと。米国と比べて極めてスローです。そして重要な不履行基準見積もり比は15パーセント上昇(当初基準比30パーセント上昇)と同じですが、とるべきアクションは、

○ 防衛装備庁長官は、取得戦略計画の見直しについて、関係局長及び関係幕僚長等と調整を行う(通達§3①)

○取得戦略計画の重要な事項に変更を及ぼすような見直しを行う場合は、装備取得委員会の審議を踏まえ、防衛大臣への報告又は承認が必要(訓令§16②)アクションまでの締め切りもなく、具体的な対処も決められておらず、国会への報告義務もありません。これで文民統制が効いているといえるでしょうか。

クリティカルな不履行は、準見積もり比は25パーセント上昇(当初基準比50パーセント上昇)で、これまた比率は米国と同じですが、 防衛装備庁長官は、取得プログラムを中止することが適当と認めるか否かについての防衛大臣の判断に資するため、関係局長及び関係幕僚長等と調整を行い、取得プログラムの継続の必要性について検討する(通達§3②)

これまたアクションに対する締め切り無く、検討するだけです。そして継続への要件は、防衛大臣は当該取得プログラムを中止することが適当と認めるときは、その中止を命じる(訓令§17)

これまた国会への報告義務もなく、大臣の一存で決まります。システムとて中止する決まりがなく「官邸の最高レベル」への忖度がやり放題です。

仏つくって魂入れず、です
しかも費用の一部を「初度費」に移すというインチキもやり放題です。初度費は本来、生産立ち上げの際にかかるラインの構築費やジグなどの購入費、ライセンス料などのことですところが実際はそういう名前だけで、実は100年でも継続して払い続けられます。ですから現状手直しや不具合の直しなどもすべて「初度費」で延々と支払われております。

これまた「官邸の最高レベル」を忖度して、やっぱり買いますということになりやすい。

■防衛省が導入中か導入計画中の高額の装備品
・航空自衛隊・F35A戦闘機(42機)           約8278億円
・海上自衛隊・SH60K能力向上型ヘリコプター(約90機)  約5153億円
・陸上自衛隊・垂直離着陸ヘリコプター・オスプレイ(17機)約2347億円
・陸上自衛隊・新多用途ヘリコプター(約150機)         約2044億円
・陸上自衛隊・水陸両用車(52両)            約352億円

陸自のUH-Xが富士重工案の、UH-1の改良型に決まったのはグローバルホークやAAV7、オスプレイなどを入れたために、予算が枯渇したためでしょう。

本命だった川重案のエアバスヘリとの共同開発に決まっていれば、今後世界中に千機以上を販売することが可能であり、技術開発の意味でも意味がありました。そして自動的に富士重工がヘリメーカーから脱落するので業界再編になり、ヘリ産業が自立できる素地ができたはずでした。
ところが大昔のUH-1ベースの機体を国内生産するだけ、近代も外国任せです。そして弱小メーカー3社体勢の温存。相も変わらず、防衛省に寄生して生きるしかない、ニート産業からの脱却は不可能となりました。

それをやったのは安倍政権とそのご機嫌取りをして出世することしか考えていない一部の内局官僚たちです。ちまたのネトウヨさんたちは、この手合いを「愛国者」だと思っておられるようですけども。

市ヶ谷の噂

新小銃は40ミリグレネードランチャー装着が前提。
豊和工業が提案していた新型小銃は単価100万円近くな上に、性能不十分でJALUX提案のH&K 416が優勢も提案単価は豊和提案の小銃と同レベルと「リーズナブル」なお値段との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年8月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑