【映画評】関ヶ原

2017年08月29日 06:00

提供:アスミック・エース

天下人・豊臣秀吉の死後、豊臣家に忠誠心を持つ石田三成は、天下取りの野望を抱く徳川家康と対立する。互いに腹を探り合い、幾度かの対立の後、三成率いる西軍と、家康の東軍は、ついに1600年10月21日、天下分け目の合戦・関ヶ原の戦いで激突することになる…。

日本史上の歴史的な合戦を描く大作時代劇「関ヶ原」。原作は司馬遼太郎による大ベストセラーだ。映画の中で何度も描かれている関ケ原の戦いを、正面から描くのは、意外なことに本作が初めてなのだそう。この、わずか6時間の戦いで家康が勝利し、長きにわたった戦国時代に終止符を打って徳川の世となるのは周知の事実なので、結果に驚きはない。

だが本作は、敗者側の石田三成を主人公に据えての物語。伊賀の忍びの初芽との秘めた恋や、家臣の島左近との友情などに重きが置かれ、三成の正義と家康の野望という対立の構図で描かれている。石田三成は、一般的には、傲慢、戦下手などのマイナスのイメージが強いのだが、原作者の司馬遼太郎は、彼を、近代人の始めの一人と高評価している。実際、歴史上の多くの人物には正反対の評価が残されているもので、その点も含め、史実や原作とは異なる部分は、エンターテインメントとして割り切るべきだろう。

映画そのものは、敗者や弱い者の側に肩入れしてしまう判官びいきの日本人気質に、石田三成のシンボルマーク“大一大万大吉(万民が一人のため、一人が万民のために尽くせば太平の世が訪れる)”を、強引に重ねた感がなくもない。三成と初芽の秘めた恋は、ヴィジュアルは華やかになるが、正直、必要ないとも思う。登場人物があまりに多く、セリフも膨大なので、歴史によほど詳しくないと、混乱してしまうのは、致し方ないところか。

だが石田三成が敵である家康の館に逃げ込んだことや、関ケ原の命運を握っていたのが意外な人物たちだったことなど、一般的には有名でない史実も多いので、興味深く見ることはできるはずだ。演技派の岡田准一の石田三成は、正義感と愛にあふれる忠義の男として非常に魅力的で、映画の軸になっているし、大挙して登場する実力派俳優たちの演技合戦を存分に楽しむと良いだろう。あくまでもエンタメ作品として。
【55点】
(原題「関ヶ原」)
(日本/原田眞人監督/岡田准一、有村架純、役所広司、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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