小池百合子を貶める、週刊新潮の軍事音痴な胡乱記事

防衛相時代、海自を視察する小池氏(防衛省サイトより:編集部)

10月12日号の週刊新潮では『「エコ戦車」がジョークだった「小池百合子」のスベる話』なる記事が掲載されています。

環境大臣当時の防衛庁での講演で小池氏が、
「突然ハイブリッド戦車やハイブリッド戦闘機はどうか」と言い出すので、制服組ともども呆れました。兵器は信頼性が必要で、地球に優しければよいというものではありません、という防衛庁(当時)の幹部の話を紹介しております。

この話は当時話題になりましたが、その防衛庁幹部が軍事知識に疎い、うつけだったという話です。

戦闘車輌のハイブリッド化は当時既に研究が進んでおりました。キャンセルされましたが米陸軍のFCSと呼ばれる、装甲車輌を一新するプログラムでもハイブリッド方式が採用される予定した。いまでも装甲車両のハイブリッド方式に関する研究はなされています。例えば米国の防衛大手のLCはドイツのハイブリッド開発会社であるMM社を買収して研究開発を続けています。

それは第一に燃費が大きく向上する。減らした燃料分だけ、別な予算にお金を振り向けられます。更に米軍など外征型の軍隊では兵站、補給ルートの負担減となります。例えばイラク戦争などでは最前線の部隊まで燃料を届けるとなると、補給ルートを整備し、その途中に何カ所もデポを設営することになります。

しかも燃料を運ぶトラックの燃料も馬鹿にはならないほど消費されます。例えば100ある燃料が前線に届くまでに何割か減ってしまうわけです。その意味でもハイブリッド方式はメリットがあります。しかも水素の燃料電池車輌なんぞと異って、既存の燃料インフラをそのまま利用できます。
戦闘車輌(そして兵站車輌)のハイブリッド化は大きなメリットがあります。

またエンジンを切ってモーターで動かせば騒音を低減できるので戦術的なメリットもあります。

更に申せば、諸外国の海軍、例えば英海軍や英海軍などではタービンエンジンやディーゼルエンジンを発電機としたハイブリッド方式の推進機関が既に多く採用されております。
更に申せば海上自衛隊も採用しております。

自衛隊の艦艇は信頼性が低いんでしょうかね?

更に申せば、自衛隊や軍隊では兵站のミニマイズは大きな問題です。兵站に掛かる費用を削減できるのであれば、その分の国防予算を削減するか、あるいは国防予算の他の予算、例えばネットワーク化などに転用できます。それにハイブリッド方式が信頼性が低いという事実はありません。ハイブリッド方式が信頼性が低いのであれば、トヨタは世界中信頼性が低い車を売りつけて荒稼ぎしている悪徳企業ということになります。

無論新しい技術にはリスクがつきものですが、それに挑戦しなければ軍事技術の発展もありません。それが嫌ならば、F-35なんぞ買わずに、未来永劫旧式化したF-4ファントムを後生大事に使えばいいではないですか。こういうクズが防衛省では出世する傾向にありますが、それは国益を大きく害することとであり、こういうクズを防衛省から叩き出すべきです。

諸外国では戦闘機ではないにしろ、ディーゼル方式や電動式のヘリコプターなども開発が進んでいます。

件の防衛庁幹部恐らく内局の高官なのでしょうが、軍事技術に疎いくせに、自分は専門家であると根拠がない自身をもった悪い意味での内局官僚の典型でしょう。

こういう人権力だけあるが、無知蒙昧な役人が装備調達などに口をだすから、現場が混乱するし、自衛隊の装備が残念なものになる一因です。

記事のよるとこの人物は小池氏が防衛相に就任した時にハイブリッドカーではなく、防弾仕様の公用車に乗るべきだと進言したいう話ですから、容易に個人が特定できるでしょう。

この人物はもしかすると当時そのような軍事技術をしっていながら、敢えて小池氏を陥れようとして、週刊誌にネタを提供したという可能性もあります。いずれにしても行政の人間としてクズです。
希望の党は選挙が終わったときに、この人物を国会に招致して喚問すべきです。

ぼくは小池氏あるいは希望の党に対して肩入れするつもりはありませんが、このような過去の、しかも馬鹿にされたような記事を意図的に掘り起こして、選挙前のネガティブキャンペーンに使用するのであれば、それは品背下劣であり、連載されている藤原正彦氏ではないですが「週刊誌の品格」を著しく下げることになり、週刊新潮のメディアとして信頼性を自ら傷つける行為です。

たまにコメントする立場として敢えて苦言を呈しておきます。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年10月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。