清水アキラさんは家族会に繋がるべき

田中 紀子

日本テレビ系ZEROより(編集部)

清水アキラさんの三男が覚せい剤使用という、またしても有名人の違法薬物事件がおき、マスコミが大騒ぎしています。

昨日はお父様である清水アキラさんが涙の会見を行いました。

レポーターの方々の誘導尋問の常ですが「親が甘いからこうなった」というステレオタイプの答えを導き出そうしているのがミエミエで毎度毎度うんざりします。

覚せい剤に走る背景には、虐待やいじめ体験などのトラウマがある場合もありますし、孤独感や自尊感情の欠如、強い劣等感、他の精神障害による生きづらさなどなど、一人一人複雑な背景があり「親が甘やかしたからこんな人間になった」などという、単純な図式ではありません。

昨日の会見の女性リポーター、どこの社の方か?お名前も分かりませんでしたが、質問の内容が実にひどかったですね。あのように親の育て方に原因を持っていことしたのでは、同じ問題で困っているご家族が、相談に向かう勇気を失いますので、絶対にやめて頂きたいと思います。

また、清水アキラさんも、会見の中で、世間の目を気にする気持ちが垣間見えて、決して親の正直な気持ちを吐露したわけではないかと思います。

この様な会見を開かざるを得なくなったことに対する羞恥の気持ちと、なんとか批判を最小限に抑えたいという計算、そして親としての張り裂けんばかりの悲しみや苦しさ、それらの混乱が手に取るようにわかる会見で、見ているこちらの方が苦しくなりました。

依存症問題に苦しむ多くの家族のためにも、親が子供の代わりに謝罪するという悪しき風習を、マスコミは今後、是非ともやめて頂きたいと思います。

そして親であるタレントの方も、「子供の問題は、子供に責任をとらせる。そのためにも自分は会見にはでない!」という勇気ある選択をとって頂きたいと思います。

違法薬物使用や依存症の問題で、家族が最もやらなくてはいけない対応は、「本人の責任を尻拭いしない」ということにあります。

ギャンブル依存症なら、借金の尻拭いはしない、違法薬物使用なら、逮捕されてから裁判、そして社会復帰までの道のりに必要な本人の責任を、本人自らが専門家や支援者と繋がってとれるよう、敢えて手出しをしないのです。

今回のような謝罪を含めて、親は一切の責任を本人にきっちり取らせることが、家族の真の愛情であり、やらなければならない対応なのです。

これは家族にとって、実に辛い選択です。
愛している人が、窮地に陥り、苦しんでいる・・・
その姿を、手出しをせずに、愛情をもって黙って見守る、
この間、家族は胸が張り裂けそうな苦しみを味わいます。

自分が謝罪をし、同情を集め、少しでも印象をよくしてやろう!と行動した方が、家族はずっと楽なのです。
でも、それをやってはいけません。

そしてその苦しみを誰よりも理解し、辛い時期を励まし、未来の希望を信じて、共に歩んでくれるのは、同じ経験をした家族なのです。

家族会は傷をなめ合い、メソメソ泣いているようなところではありません。
当事者の回復を願い、断腸の思いでタフラブ(厳しい愛)を貫く、勇気と真の強さを持とうと努力する、家族の集まりです。

ですから清水アキラさんが、今後本当に息子さんのためを思うなら、まずは家族会につながり、家族がとるべき対応の仕方を学ぶべきです。

そして私からアドバイスをさせていただくなら、

・二度と息子の代わりに謝罪などしない
・ご自身の事務所から解雇し、復帰の場合も共演など一切の手助けをしない
・医療や回復施設の情報を伝える
・弁護士の手配、弁護士費用の支払いなど本人にやらせる

そして何よりも最重要なのは、
・ご自身が謹慎などすることなく、はつらつと仕事をすること!
です。

家族は当事者の犠牲になどなってはいけません。
それでは当事者は益々家族をあてにしてしまいます。

清水アキラさん、私の提案は簡単なようで、実際にやろうとしたら、世間の常識からは真逆をいき、バッシングを受けることになるかもしれません。それは辛い道のりです。
だからどうか家族会の手を借りて、これを乗り越えて下さい。

この問題の偏見是正のためにも、ここで頑張って、アキラさんはアキラさんのお仕事に邁進して頂きたいと、私たちからも心からのエールを送ります。


編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2017年10月13日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。