プログラミング☓デジタルえほん、東大にて。

子どもデジタルのイベントを東京大学で開催しました。
CANVAS主催・デジタル教科書教材協議会DiTT共催。
まずは「プログラミング教育で育成する資質・能力」シンポジウム。
文科省・梅村課長、総務省・今川課長、JAPET赤堀会長らがご登壇。
プログラミング教育はイギリスやフィンランドなどで既に必修化されています(総務省・今川課長)。
日本では次期学習指導要領で必修化されます(文科省・梅村課長)。
これをにらみ、CANVASとベネッセは「目指す資質・能力」の評価規準を策定しています。
総務省はプログラミング教育の実証実験を進めてきました。
92%の生徒が満足し、71%が続けたいと反応しているそうです。
ロボットを利用する授業の人気が高いそうです。
これを指導要領にどう落とし込んでいくか。
 
ベネッセが策定している規準は、例えば思考・判断・表現力に着目し、問題の発見・解決のプロセスを考えます。
記号を分け、組み合わせ、試行し、振り返る、という思考のプロセスを整理しています。
JAPET赤堀さんは、小学校の時間が限られている中で授業内の具体的な時間に落とし込むべきであり、しかもプログラミングを「実装」レベルまで持っていくことが大事と主張。
そして一人一台の「環境整備」が必須と指摘されました。
文科省・総務省、よろしく。
また、プログラミング教育のプラットフォームとしてCANVASが構築してきた「CS for All」にも登壇者から期待が寄せられました。
民間によるこの資産を、国としても有効活用するのがよいと考えます。
さて、同時に「国際デジタルえほんフェア」が開催されました。
CANVASとデジタルえほん社が主催、DiTTとKMDが協力しています。
今年は48カ国から600作品が参加。
ボローニャの絵本展を超える世界最大のデジタルえほんイベントに成長しました。
同じく開催したのが恒例の「デジタルえほんアワード」。
第5回目です。
国際色が豊かになりました。
デンマーク、ドイツからも足を運んでくださり、ポーランド、フランス、フィリピンの大使館からもご足労いただきました。
今年、新設した教材賞。準グランプリは朝倉さんの「ピッケ」。
「学校で使える作品が増えてきた。自分で作れるものを子どもは好む。創作意欲のわく教材を作ってほしい。そして海外作品の日本語化も進めてほしい。」という審査コメントがありました。
 
キッズ部門は、ユーバープログラミングスクールの小学1年生以上が参加するチーム「たいようけいをすくえ!だいさくせん」。
scratchでの宇宙モノです。
おめでとう。よくやった。
 
 
準グランプリはデンマーク、Step in Booksの「Mur」。
この方、今回他の入賞も含め3つ賞を獲られました。
ヨーロッパにはこういうの作ってるコミュニティがあるからぜひ参加してよとのこと。
ぜひ!
 
 
グランプリはドイツ、Catsndogz(いい名前)の「Lucy & Pogo」。
審査員絶賛。
でもこのかたがた、まだ他には作っていないとか。
「映像や音楽がバックグラウンドで、プログラミングが大変。でもそれ以上に、開発費確保が大変なんだ。」
同じ悩みですね・・・。
 
審査員コメント。
いしかわこうじさん「国際化し、水準が上がった。日本もがんばれ。」
角川歴彦さん「最初はiPadという新端末に合わせた作品作りだったが、もうみんな自分の表現を作っている。」
きむらゆういちさん「今回のグランプリは紙の絵本として見ても優れた作品。」
 
篠原ともえさん「デジタルえほんはコミュニケーションのツール。子どもたちが作った作品も、作っている姿が”聞こえてくる”ものだった。自分も作ってみたい。」
水口哲也さん「ARなど今までにない楽しさ、発見があった。新しいストーリーテリングの体験が広がっている。」
 
主催者としての締めくくり。
「一年目のグランプリは紙の絵本をデジタル化したもの。
 二年目は中学生が作ったもの。誰もが作れる。
 三年目は海外作品。国際化した。
 四年目は段ボールとタブレット。ディスプレイを超えた。
 五年目はARなど新技術と教材が目につき、先端開発と教育基盤に広がった。」
 
 
んじゃまた来年。

編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年11月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。