二重国籍問題を巡る望月記者の侮辱的な論評に抗議する

2017年11月27日 06:00

NEWSポストセブンより引用

「女性セブン」で掲載された山尾議員と望月記者の対談については、当初は読む気が起きなかったのだが、中田宏さんの記事の転載をした際、対談の中で蓮舫氏の二重国籍問題が言及されていたことを知った。ネットにも記事が配信されていたので読んでみると、二重国籍問題を真摯に追及してきた私を含むメディア関係者に対し、あまりにも侮辱的な内容だったことに心底怒りを覚えた。

山尾志桜里氏×望月衣塑子氏 「女」を巡る政治を語り合う│NEWSポストセブン

2人の対談は『「女」を巡る政治を語り合う』と題したもので、男社会の権化のような永田町での逆風に立ち向かう“シンボリック”な存在になった2人が思うところを述べ合っている。女性議員の比率が先進国で最低な上、男性議員によるセクハラまがいの言動もたびたび問題視される日本の政界については私も問題意識は共有するが、この対談を読んで感じたのは、山尾氏の不倫騒動に伴うバッシングや、蓮舫氏の二重国籍問題といった政治家本人に責任のあるイシューが、男女の性差別の問題にすり替えられていることだ。

女性議員“だから”執拗に追及したいのか?

高校の先輩後輩という間柄の対談だから、ある種の放言が飛び出したのかもしれない。しかし、ジャーナリストである望月氏が、論拠が乏しいにも関わらず、同業の男性記者に対しこのような物言いをするのは、侮辱的な中傷にしか思えない。特に私も蓮舫氏に記者会見で直接問いだした二重国籍問題も含めた、この話はどういう了見なのか?

望月:常々思うのですが、稲田朋美さんの防衛省の日報問題や蓮舫さんの二重国籍問題でも、男性記者は明らかに言葉の強い厳しい質問を繰り返していました。記者だけでなく男性議員のなかにも女性議員を執拗に追及したいという気持ちが蔓延しているように感じます。ニュースであれだけ異様に取り上げることもリンチにしか見えず、女性議員に対する報道のあり方は見直されるべきです。(下線部筆者)

上記のうち、蓮舫氏の国籍問題に関して望月記者に聞きたい。厳しい質問をしていた記者とは誰のことをさしているのだろうか?蓮舫氏が戸籍を公開した7月の記者会見では、国籍問題に対して擁護的な取材者のほうがどちらかといえば多かった中、厳しく追及していたと言えるのは、私と産経新聞の記者と、安積明子氏の3人くらいだ。

そして安積氏は女性であるから、男性は私と産経記者のどちらかだ。もちろん、この蓮舫氏への追及はそれまで1年間近く定例記者会見などにおいて、産経記者らを中心にたびたび行われてはきたので(私は戸籍会見以外は参加していない)、ほかの男性記者を念頭に置いているのかもしれない。

しかし、ひとまず、私自身は、あなたが言うような「女性議員を執拗に追及したい」、つまり蓮舫氏が鼻に付く女性だから国籍問題を厳しく追及していたわけではない。あくまで国籍法違反、そして国籍に関して事実と異なる経歴を標榜して選挙に立候補していた公選法違反というコンプライアンスの問題と、国益を代表する存在である政治家と国籍の関係性で疑義が生じたことという、2つの観点から、問いただしたまでだ。

男性記者に対して侮辱ではないか?

産経記者の考えは聞いていないが、おそらく彼も私と同じであろう。一体、何を根拠にこのような性差の問題にすり替えたのか?もし私を念頭に置いているなら、一方的に女性蔑視のレッテルを貼るだけの誹謗中傷だ。ほかの男性取材者に対するものであったとしても、侮辱でしかない。

私としてはここに抗議し、望月記者、および東京新聞に対し発言の真意について説明を求めたい。少なくとも私は侮辱的に受け取ったし、謝罪もすべきだと思う。

念のため、望月記者に言っておくが、あなたがもし逆の立場でこう言われたらどう思うか。

「望月衣塑子が菅官房長官に執拗に追及しているのは、威丈高な男を懲らしめてやりたいからではないか」

おそらく、あなただって、そうした指摘があったら、ただの誹謗中傷と怒り出すのではないか。

すり替えは結果的に“男女差”を残すだけ

最後に、これは対談全体の感想でもあるが、稲田氏であろうが、蓮舫氏であろうが、山尾氏であろうが、あるいは対談で挙げられなかった小池氏であろうが、彼女たちが執拗に追及されてしまっているのは、「女性政治家だから」ではない。問題を起こした時に初期消火に失敗したり、問題のある言動を繰り返して傷口を広げたりするなど失態を重ねてきたからに過ぎない。これは男性政治家であっても同じだ。法的な問題や公人としての適格性、公約との整合性や政策に対する結果責任がまず問われているのだ。

望月記者は、菅官房長官への追及に同調しない他社の男性記者たちへの皮肉を込めたつもりで言っているのかもしれないが、男社会の永田町で脚光をあびるヒロインが、本質的な問題を性差の問題にすり替える言動をすることで、ある種の甘えを生み出し、結果として女性の政界進出を遅らせてしまうのではないだろうか。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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