日経がやっと来年度防衛予算と、本年度の補正予算を合わせて報道

防衛予算、18年度・補正ともに過去最大 米国製の購入増(日本経済新聞)

政府が22日に閣議決定した2018年度予算案と17年度補正予算案は防衛関係費(米軍再編経費を含む)が共に過去最大となった。北朝鮮による核・ミサイル開発や中国の海洋進出といった脅威に備え、防衛力を増強するためだ。米国製の高額な防衛装備品の購入や沖縄県の米軍普天間基地の移設問題も全体を押し上げており、拡大に歯止めがかからなくなっている。

18年度予算案の防衛費は前年度比1.3%増の5兆1911億円。6年連続で増え、4年連続で過去最大を更新した。17年度補正予算案の防衛費は2345億円で、1回の補正予算での計上額としては最大だった。年度別に補正予算に積んだ防衛費を合計しても、17年度は東日本大震災の復旧・復興関連が膨らんだ11年度(約3900億円)に次ぐ水準だ。

当初予算と補正予算にそれぞれ積んだ防衛費を足しあわせると伸びはさらに際立つ。17年度の合計額は前年度を2%上回る5兆3596億円。当初予算同士で比較する場合よりも伸び率は0.6ポイント大きく、ここ5年間で1割ほど膨らんだ。

「補正予算がないと必要な防衛費はまかなえない」。防衛省幹部は明かす。北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射により、本来なら災害対処が中心の補正予算にもミサイル防衛の事業を盛りこみやすくなっている。「両予算の合計額が防衛の実態に近い」(政府関係者)との声もある。

ぼくは以前から防衛予算は来年度予算だけを見ても駄目だよ、本年度の補正予算で概算要求で落ちたお買い物予算がまかなわれているよ、と兼ねてから申し上げてきました。

過去の補正で2千億円程度だとたいしたことないような印象を受けるでしょうが、そのうち本来の補正予算の趣旨に反する「お買い物予算」が多いわけです。防衛費の内、人件費糧食、SACOなどの予算は固定費で、実際のお買い物予算は2割もないわけですから、補正予算の「お買い物」予算は防衛省のお買い物予算を大幅に引き上げています。

来年度の本予算だけをみては正しく防衛予算を検証することはできません。
本予算だけを国会で審議しても尻抜けです。

ところが多くのメディアはこのからくりを報道も説明もせず、本予算だけをとりあげてきました。まあ、いわゆる平和運動家の皆さんも同じなんですけどもね。

今回の日経の記事は一歩前進ですが、それでもこういうカラクリを説明してません。

本来補正予算とは、例えば大規模震災が起きて災害出動をしたとか、為替が急激に変動して燃料代が高騰したとか、予算編成時に想定していなかった、支出を手当するものです。

補正で落ちた新しいオモチャをこっそり買うための予算でもありません。

以下は本年度補正予算で買うオモチャです。プレスリリース空の数字ですが、防衛省のHPには姑息にも載っておりません。

MDにしろ、E-2D、LR-2等にしろ、とても補正で買うものではありませんどんぶりになっているその他の項目も怪しいモノです。

「補正予算がないと必要な防衛費はまかなえない」

随分とふてぇ言い草です。米軍の7~8倍の値段の小銃やら機銃やらを漫然と調達したり、定年まで全員が居残れる人事制度、不要な基地や駐屯地など削れる予算は山ほどあります。こういうことをやらずにカネだけ欲しいというのは自分たちが無能で頭を使うことができませんと告白しているようなものです。

税金を有効に使う、という公僕として基本的な考え方ができていません。

率直に申し上げてこういう人たちにカネを渡すのは税金の無駄使いです。
100円のカップヌードルに500円払って平気な人たちのお小遣いを2倍にしても、今度は1,000円払うようになるだけで、生活習慣や支出の姿勢を直すことはできません。

むしろ防衛費を5千億円とか、1兆円ぐらい削るって浮いたカネで国の借金を返すべきです。
その方が国益に適います。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸幕はコマツへの発注ありきでMHIを排除し採用した8×8装甲車の試作品は路外走行能力皆無のNBC偵察車を元に開発され、その上コスト削減のため建機のパーツを流用。結果は散々でメーカー差し戻しとなるも、改善の見込みが無く、困った陸幕は外国製装甲車の採用も検討中との噂。

先日はサブカル系の定例会の忘年会。初めて行ったのですが、特別ゲストで小松政夫氏が降臨。
先のNHKの自伝のドラマなどについても裏話を聞かせて頂きました。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。