ぼくの10か条

この歳になって大学にいると、「教育信条を教えてくれ」「学生に指南する人生の指針は」「若い人へのメッセージを」といったリクエストを受けます。ぼくは他人さまに向かってエラそうに指導できる者ではないので、いつも言葉を濁しています。

ただ、では「自分」に課している「決めごと」を教えてくれという要望をいただきました。ふむ、ぼくがぼくに諭していることであればいくつかあります。参考になるかは存じませんが、整理してみます。

オリジナリティはありません。誰かが言っていた、書いていたことをふるいにかけるうち、ぼくの中に残った小石たちです。

1. 作れ
・評論家やコンサルになるより、自分が主体の仕事。兼好より道元。
・まずは作る。小さなモノでも大きなコトでも。
・Imagine & Realize。想像して、創造する。

2. できる方法を考えろ
・できない理由を考えるのは時間のムダ。これからどうするかのみを考える。
・たられば より きっと。
・WhatよりHow。アイディアは1、実現が9。

3. 一番になれ
・その仕事に成功すれば世界一になれるものだけを手がける。
・Think Big Go Punk。

4. ほめろ
・いいものを見極める。世の中のすばらしいもの全てをほめる時間は人生にはない。
・世の中の99%はダメなものであり、それをけなしている時間は全くない。
・批判する対象は、権力者はじめ自分より強い相手のみとする。

5. 先に手を出せ
・条件が揃うのを待つ前に、叱られても先に動く。
・いつもボールは相手が持つ状態にする。
・この世でいちばん肝心なのはステキなタイミング。

6. 数字を伴え
・裏付けを自らに課せ。1段落に1データ。
・ポイントは3つまでに絞る。
・長文は恥。

7. 1枚にしろ
・エラい相手は紙をめくらない。
・パワポは1ページに10文字まで。
・遠くを向いて、ゆっくり話す。

8. まずハイと言え
・まず受け容れてみる。拒否はたいてい後でもできる。
・否定する言葉、行動、人をできるだけ遠ざける。否定文を減らす。

9. オモロい方を選べ
・選択に迷ったら、どちらがオモロいかを自問する。
・自分にとってオモロいものだけの人生に近づける。
・安寧より刺激。

10. 新しい方を選べ
・選択に迷ったら、後から来た方を選ぶ。その後の成長が期待できるから。
・後悔のない選択はない。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。