NHK日曜討論のIRで発言が光った希望・長島昭久議員

1月28日放送のNHK日曜討論でIR問題が取り上げられていました。

いよいよ本日から予算委員会が始まり、我々にとってもIRの行方が非常に気になる今国会が本格スタートとなりましたので、番組の所感を述べたいと思います。

番組によると、IRに賛成の党は、自民、公明、維新、希望。
反対は、立憲、共産という構図でした。

短い時間なので、相変わらず大した中味はなく、
賛成派は「ギャンブル依存症対策はしっかりやる!その上で観光立国となるべくIR推進を」
反対派は「カジノはギャンブル依存症者を増やし、社会問題が増加する」
と、いつもの議論が繰り返されていました。

賛成派の先生方の「しっかりやる!」というセリフですが、その中身が問題で、今の所全然しっかりしてないし、言うのは簡単ですけど、こんな受け皿すっかすかの現実で一体どうやるの?
というのが我々の気になる所であり、そこが全く見えてきません。

推進派の皆さんがカジノOKとする論拠は、ずっと同じパターンで、

・シンガポールはカジノができても依存症対策をしっかりやったから依存症問題が減った

・IRとは統合型リゾートであって、カジノの面積はごくわずか

ということなのですが、だからなんなの?と私もいつも通り思いました。

シンガポールと日本はまず大前提として全く別の国です。
一党独裁で、23区並みの規模の国家のやってることと比較してどうするの?と思います。
そもそもシンガポールにはパチンコ店が1万軒以上も乱立してたりしませんよね。
ギャンブルに対する、土壌も考え方も全く違うってことです。

さらに、「IRでカジノが占める面積は小さい」という理屈は、もう理屈にすらなっていないですよね。
そんなこと言ったら、なんで街のパチンコ屋さんが、こんなに社会問題を引き起こしているのか?ってことになりますよね。

それと、自民党の新藤義孝先生は
「ギャンブル依存症対策は現行法で様々に行われており・・・」
とおっしゃっておられましたけど、これには
「ええええええええ~~~~~~~!」とのけぞって驚きました。
これまで一度だって、自民党の先生方だってこんなことおっしゃってないですよね。

今まで「ギャンブル依存症対策が無策であったことは失政だった」と、何度も何度もIR議論の中で出てきたことで、
「だからIRを機にちゃんと対策やろう!」
ってのが推進派の先生方のご意見だったはずですし、実際そうです。
現行法でなんて、殆ど対策なんてやってきていないです。

「しっかりやる!」の中身が、やってもいないことをやったとされるのでは、たまったもんじゃありません。
そこはとても不安になりました。

反対派の先生は、そもそもギャンブル反対!みたいな感じですが、
立憲の長妻先生は「メリットばかりでなく、デメリットにも調査を!」
とおっしゃっていて、それは我々もずっと願っていたことなので有難いご発言でした。
社会負担費への調査は是非とも行って欲しいですね。

あと長妻先生が「公明党さんに頑張って欲しい!」とおっしゃったのが面白いと思いました。
公明党さんは、IR賛成でコンセンサスが一致したのでしょうか?

さて、このようにIR議論というのは、
毎回毎回大抵中味がなく「またそれか・・・」
とうんざりすることが多いのですが、唯一きらりと光り、さらに現状をよく勉強されてるなという感じで、
「おっ!」っと気になったのは、希望の党の長島昭久先生でした。

長島先生は、
「厚労省はギャンブルを含めた依存症対策予算は6億円。シンガポールの予算は7億円でほぼ同じですが、シンガポールは人口規模、経済規模共に日本の15分の1から20分の1なんですね。つまりこれでは全然足りない。この程度の対策では国民の理解は得られない。」
と、具体的な核心をついたご発言をされました。
これには「その通りです!」と、思わず拍手を送りました。

この3年間政治家の先生方とお付き合いさせて頂いて、つくづく分かりましたけど、先生方の中には話題になった時だけ、いかにもこの問題に心を砕いているかのような、パフォーマーとなる先生方も多いです。

逆に、ちゃんと時間をとって、我々の現場の声に耳を傾けて下さる方もいらっしゃる。

これからこういったIR賛成反対の番組も増えてくるでしょうから、その度に、番組をしっかりチェックして、
「この先生はするどい!」「この先生は上っ面なことしか言ってない。」と、
私独自の分析を発信していきたいと思います。

我々も、いよいよ正念場。
頼りになる先生は誰なのか?ちゃんと見抜いていかねばなりません。
そしてIR法案の行方はどうなるのか?
注目していきたいと思います。


編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年1月30日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。