混迷のホワイトハウス:突然の米朝会談受諾

2018年03月09日 17:00

arif_shamim:flickr(編集部)

ホワイトハウスの混迷が深刻になってきている。鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税をかけることは、トランプ大統領に近い人でも唐突であったようだ。それが引き金となって、国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーン氏が辞任した。共和党の多くの議員も、この関税には反対している。自動車産業、建築業、アルミ缶などを使う飲料会社は原価の引き上げにつながり、最終的には、米国民が消費する中で負担を強いられる。

ニュースではコロコロと発言が変わるトランプ大統領に対して、非常に厳しいコメントが飛び出している。鉄鋼とアルミニウム輸入関税に関しても、当初は「例外なし」と言っていたが、今日の報道では、NAFTA(北米自由貿易協定)のメンバーであるカナダ・メキシコに対しては、条約見直しの経緯を見守りつつ、関税をかけるかどうかを決めるとなっていた。また、安全保障上重要な同盟国は除外することも付け加えられた。この対象には、オーストラリアは含まれるとの推測報道はあるが、日本は含まれるのかどうかは定かではない。仲間外れにしないで欲しいと願うばかりだ。

トランプ大統領とセッションズ司法長官の対立も深まるばかりで、大統領の非難が止まらない。クビになった元広報部長が、ホワイトハウスから出ていく職員が続くだろうと述べていたが、トランプ大統領が、あるパーティで「次にホワイトハウスから去るのはメラニア夫人かも」と冗談とも本気ともわからない発言をして笑いを誘っていたとあった。手を握ろうとしたトランプ大統領の手を振り払ったり、ポケットに手を隠したりした姿が放映されている。ポルノ女優との関係を隠そうと、大統領選挙直前に口止め料を13万ドル払ったことを顧問弁護士が認めているようだ。メラニア夫人との結婚後だったので、それが夫人の怒りを買ったとの推測がある。ダボス会議には夫人同伴の予定だったが、夫人は行かなかった。予算の関係で出発が遅れて滞在時間が短くなったのがその理由とされているが、真相は闇の中だ。

そして、驚きが、トランプ大統領が米朝会談を5月までに開催すると発表したことだ。当初は、南北会談の報告に来た韓国特使が、金正恩委員長の親書を手渡し、その中に「非核化にコミットすることと、北朝鮮が核・ミサイル実験を手控える」と書かれていたので、米朝会談を受諾したと報道されていた。しかし、その後、特使が口頭で伝達したと変わってきている。これは狡猾なやり方だ。書いたものに残せば証拠になるが、口頭だと、「韓国の特使が、意味を取り違えた」「勝手に言った」とあとあと言い訳ができる。そして、非核化をすると断言したものではない。長年にわたってこの引き延ばし作戦で騙され続けてきたので、どこまで信用していいのか疑問だ。トランプ政権内でも、意見が分かれているようで、また、ホワイトハウスを去る人が出てくるかもしれない。

複雑な人間関係の中で、特に深刻なのが、娘のイバンカとその夫である大統領上級顧問のジャレッド・クシュナーやトランプジュニアなどのトランプファミリーとケリー首席補佐官クループとの対立だ。2週間ほど前に、クシュナー氏がFBIによる調査の結果、最高機密を取り扱う権限を取り上げられたと報道されていた。その理由もいろいろと取り沙汰されているが、フェイクニュースでなければ、国家の利益よりも、自分のビジネスが優先されているようだ。よくある話だが、身びいきも度を過ぎると、それ以外の人たちとの軋轢を生む。

ロシアが米国大統領選挙に干渉したかどうか、まだ、しばらくは結論は出ないようだが、ホワイトハウスの地盤液状化は止まりそうにない。以前にも増して不安定化が進む国際情勢の中で、日本は、いつまで、森友問題で時間を費やしているのかとあきれるしかない。鉄鋼・アルミニウム関税の問題、北朝鮮問題はどうなっているのだろうか?安倍総理は、すぐに動いて、4月に日米会談を設定したようだが、これが政治に必要なことだ。しかし、今回の問題は、本当ならば政権の足元を揺るがすであろうし、嘘ならば、朝日新聞は間違いなく崩壊するくらいの異質な問題だ。朝日新聞が証拠を出せば簡単に決着が付くと思うのだが、ネチネチと嫌がらせをしたい体質の表れか、それとも、出せない理由があるのか、不思議の国、日本だ。

追記:そして、とうとう、森友問題を担当していた近畿財務局の職員が自殺していたとの報道があった。原因はわからないが、弱い人が押しつぶされるのは世の常だ。悲しすぎる。


編集部より:この記事は、シカゴ大学医学部内科教授・外科教授、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のシカゴ便り」2018年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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中村 祐輔
医学者、内閣府SIPディレクター

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