訪日外国人急増!あなたのお店にも殺到中。さあどうする?

尾藤 克之
写真は書籍書影

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2017年の訪日外国人の数は過去最多の2869万人となり5年連続で過去最高を更新した。これはインバウンド対策が急務であることを示唆している。「お・も・て・な・し」の日本式ホスピタリティは外国人に理解されるのだろうか。そこには、私たちが覚えておかなければいけない基本があるようだ。

今回紹介するのは『これだけ!接客英会話丸覚えフレーBOOK』(ナツメ社)。著者は、翻訳家の甲斐ナオミさん。大学を卒業するまでに6カ国語をマスターし、28 歳のときに日本に移住。現在は、NHKほかテレビ番組の英語字幕・ナレーション翻訳を手がけながら接客英語の普及につとめている。

「Please」は“どうぞ”ではない

年々増加する訪日外国人。英語は必須レベルにまで達している。丁寧な接客をするためには、英語は不可欠ともいえる。サービス業の現場で、簡単に英語力をアップさせる効果的な方法はないのだろうか。

「日本人の接客業従事者がロにする言葉を英語で伝えるためのフレーズや単語を覚えておくと便利です。日本語の直訳ではなく、実際に話したときに外国人の耳にすんなりと入るようにフレーズをアレンジしておくことが必要です。英語は、外国人にとってはごく自然でなものです。『使える英語』でなければ効果的とはいえません。」(甲斐さん)

「また、英語はひとつひとつのアクセントを発音しません。学校で学んだ発音のままでは通じないことが多いのです。初心者でも理解しやすいようによく使うフレーズを覚えてしまったほうが応用がききます。定番のフレーズやパターンを覚えれば接客英語はそれほど難しいものではないと気づくでしょう。」(同)

では、初心者でも理解しやすい、フレーズやパターンで覚える接客英語とはどのようなものなのかその一部を紹介していきたい。

「『Please』を“どうぞ”で使う人が多いのですが、『Please』が、“どうぞ”の意味で使えるのは、“許可を求められたとき”だけです。洋服を試着したいお客様が“試着していいですか?”と尋ねた場合、『Please, the fitting room is over there』(試着室はあちらです)などと使います。通常は、『Here you are』『Here you go』が正解です。」(甲斐さん)

「使用頻度が高いフレーズは、そのまま覚えてしまったほうが便利です。例えば、『You’re welcome』『My pleasure』『Not at all』『No problem』なども、使用局面を理解したうえで、そのまま覚えてしまったほうが使いやすいといえるでしょう。」(同)

「I can’t speak English」は間違い

「I can’t speak English」を、“英語を話せない”という意味で使っている人はいないだろうか。このフレーズも間違いである。

「『I can’t speak English』は“何らかの理由で英語を話すことが禁じられているから話せない”といったニュアンスにとらえられてしまいます。“英語が上手に話せない”と伝える場合は、『I don’t speak English very well』と表現しましょう。このとき、『very well』を忘れずに。ぶっきらぼうな印象になるのを防いでくれます。」(甲斐さん)

「このように言語に関しては、日本語では“話せる”“話せない”と言いますが、英語では“話す”“話さない”と表現することを覚えておきましょう。」(同)

次は、習慣を説明したい。日本では、お客さまを見送る際、“出口までご案内します”と案内することがマナーとされている。この習慣は外国人にわかりにくいようだ。

「妙な感じがすると同時に、場合によっては、ストーカーのようだと勘違いされてしまうこともないとは言えません。また、海外の飲食店では“おしぼりの文化”がありません。“おしぼり”を置かれて、不思議そうな表情をしないか注意してください。」(甲斐さん)

「“安い”を伝えるときにも勘違いしているケースがよく見られます。『cheap』は“安い”という意味ですが、“安い(お買得)”という意味ではありません。“安っぽい”“つまらないもの”として理解されてしまいます。」(同)

私たちは、日常的に間違った英語を使っている可能性があるので、この機会に振り返ってみたい。また、フレーズの丸覚えという方法は、かなり簡単なのでおススメできる。

尾藤克之
コラムニスト
代議士秘書、コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。著書はビジネス書、実用書を中心に10冊。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)が発売後、1週間で重版。現在好評発売中。
個人ブログ:尾藤克之のブックルポ Twitter:@k_bito