朝ドラを観て、就職の際の申告を軽く考えないように!

2018年06月06日 06:00

NHK番組公式サイトより:編集部

最近、NHKオンデマンドで朝ドラ「半分青い」の過去放送分を観ている。
主人公が就職に失敗したことに対し、主人公の母が「片耳が聞こえないことを正直に書くからだ!」と責めるのに対し、主人公は「ウソをついてまで就職したくない」と反論する場面があった。

身体障害者の雇用問題は別として、視聴者が就職に当たって応募先に対する申告を軽く考えてしまうのではないかと思わず危惧してしまった。

はっきり言って「ウソをついてまで就職したくない」というレベルの問題ではない。

現実は、もっと深刻なのだ。

就職時の経歴等を詐称すると、内定取り消しどころか、採用後に解雇される場合もあるので十分注意したい。主な詐称等を分類すると、以下のようになる。

 1 学歴
学歴詐称では、採用条件として「高卒以下」であることを確固たる方針としていた企業において、短大卒を高卒を偽って入社した労働者に対する懲戒解雇を有効と認めた判例もある(スーパーバック事件 東京地裁 昭55・2・15)。

従事する労働が肉体労働であることから、学歴は関係ないとして解雇無効とした判例もある。

2 職歴
転職の際、業務経験がないのにあると誤認させて、高額な賃金を不当に得ていた場合に解雇が認められた例がある。

逆に、一貫して未経験者を採用する方針をとっていた使用者に対し、経験者が未経験者と偽って採用された場合に「企業秩序を損なう」として解雇が有効と判断されたケースもある。

3 犯罪歴
犯罪歴は、既に過去のものとして終了した場合は、申告義務はなく使用者側から犯罪歴を具体的に質問してはならない。

しかし、職務に密接に関連する場合は、解雇が認められるケースが多い。
バスの運転手が飲酒運転で逮捕された前科を隠していた場合や、経理担当者が業務上横領の前科を隠していたような場合だ。

4 健康状態
健康状態は、履歴等に必ず記載欄がある。
「半分青い」の主人公のケースがこれに当てはまるが、持病や障害が当該業務を遂行するのに支障があるような場合は解雇が認められることが多い。

昨今難しいのがメンタルヘルスの点だ。「うつ病」だと業務遂行が困難な職場で配置転換の余地もないような場合は、解雇が有効とされる可能性が高い。

以上のように、経歴詐称は内定取り消しだけでなく、実際に就労してから解雇される恐れもあるので、絶対に軽く考えてはいけない。

ただ、詐称があれば必ず解雇が認められるというものではない。
詐称の悪性、その他、詐称が従事する業務に支障を与えるかなど、総合的に見て解雇の有効性が判断される。

とはいえ、解雇されてから覆そうとして裁判で争うのは時間も費用もかかるので、最初からケチを付けられないよう正直申告することを強く勧める。

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荘司 雅彦
幻冬舎
2016-05-28

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年6月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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