激戦分析:新潟県知事選は「投票箱が閉まるまで」わからない

2018年06月09日 06:00

新潟知事選で大接戦を演じる池田候補(左)と花角候補(公式サイトより=編集部)

投開票日を10日(日)に控えた新潟県知事選挙ですが、JX通信が告示日から3回目の調査を7日・8日に行ったところ、序盤・中盤から池田千賀子氏と花角英世氏がお互いに票を伸ばしながらも差がつかず、横一線の大接戦のようです。安中聡氏は支持が広がらず厳しい情勢とのこと。

新潟県知事選 池田氏と花角氏横一線 終盤までもつれる大接戦に=JX通信社 独自情勢調査(米重克洋) – Y!ニュース

大きなポイントは、池田氏が逆転したことです。序盤・中盤は花角氏がわずかにリードしていたようですが、今回は池田氏がわずかにリードしているため、池田氏の名前から記載されています。

2016年参院選も大激戦だった

野党統一候補だった森裕子氏が560,429票を獲得し、558,150票だった自民党現職・公明党推薦の中原八一氏をわずか2,279票差、得票率にすると0.2%上回り当選しています。

情勢報道が選挙戦にあたえる影響

選挙現場は、情勢報道によって一喜一憂します。やはり、リードしていると報じられれば陣営に勢いはつくものですが、あまりリードしているという情報が広まってしまうと、支持者の間に緩みがでてしまうという怖さもあります。「私が行かなくても勝てるんだ」とか「勝てるだろうし、わざわざ親戚に声をかけるまでもないか」といった形で、あと一票、もう一票の積み上げが疎かになってしまうのです。一方で、「どうせ勝てないだろう」と思われてしまうと、運動そのものに熱が入らなかったり、様子見をしている組織や団体が離れてしまったりといったリスクもあります。「死票を避けたい」「勝ち馬に乗りたい」という有権者心理もありますし、難しいところです。

当初は当選の見込みが薄いと思われていた陣営が、「追い上げて並んだ」とか「逆転した」といった情勢報道が出たことで勝つパターンもあります。接戦や新人が追い上げるパターンで選挙が激戦になると、有権者も「自分の一票で結果が変わるかもしれない」という感覚を強く持てるため、投票率が上がりやすくなることもその一因だと考えられます。

最終盤のポイントは?

池田陣営にとって、最終盤に追いつき、わずかながらも逆転したというのは大きな勢いがつく展開です。これまでもホームページやSNS、LINE@で「電話かけ」へのボランティア募集を呼びかけていましたが、明日は電話が足りなくなるほどの人が駆けつけるかもしれません。野党統一系の選挙では2016年4月の北海道5区補選以降、「電話かけ」を徹底しています。電話かけを嫌がる方も多いのですが、私の経験上、電話かけは集票に必ず効果があります。「どちらでも良い」もしくは「どちらにしようか迷っている」という有権者にとって、最後に「電話で頼まれたから」というのが非常に大きいのです。ただ、当然花角陣営も組織力を活かして電話かけを行っているはずですから、池田陣営としてはどれだけ熱心なボランティアを集めて、電話かけの質と量を叩き出せるかでしょう。

JX通信の世論調査では、「投票の際に最も重視する政策課題」において、当初からリードしていた「原子力発電所の再稼働」を重視する層だけでなく、「教育や子育て」などの争点を重視する層でも票を伸ばしているようです。これは、序盤に池田氏や応援弁士の演説が安倍政権批判や原発再稼働に偏りすぎているという指摘があったことから、終盤では演説内容やネットでの発信でも政策を丁寧に訴える方向に修正していったことが功を奏している可能性があります。

池田陣営の不安材料としては、ここで浮足立って弁士が安倍政権批判をさらに強く出してしまったり、野党のどこかが「憲法反対」とか新潟県知事選挙の争点ではない自分たちの主義主張を強く出しすぎてしまったりすると、無党派層の票が離れる可能性があるのではないかと見ています。無党派層の支持で花角氏を上回っていることから、当日の天候も含めて投票率がどうなるかも得票に影響しそうです。

池田ちかこ公式サイト

一方で、当初優勢が報じられていた花角陣営にとって、今回の情勢報道は僥倖となるかもしれません。土曜日と日曜日の2日間ありますから、今からでも引き締めは充分に可能です。花角氏はJX通信の調査でも、自公推薦候補を忌避する傾向が強い無党派層から約2割台半ばの支持を得ていますし、争点への慎重な対応と政党色を出さず候補者を全面に出し、政党は地上戦を徹底するという戦略が功を奏していると思います。前回の記事にも書きましたが、新潟県は2016年の参院選、知事選、2017年衆院選と与党が連敗をしている選挙区です。一つでも対応を間違えていたら、さらに早い段階で池田氏に差をつけられていた可能性もあります。

外から見聞きする限りですが、花角陣営は空中戦・地上戦ともに慎重で丁寧な選挙戦を展開されてきた印象があります。候補者は行政経験の豊富さという強みを活かして政策を丁寧に発信し、一方でご息女が「むすめ」と書かれたたすきをかけて活動され、SNSでは情に訴えるメッセージを出されたりというのも集票に繋がっていると思います。

花角陣営の不安材料としては、序盤から優勢が報じられてきた中で、どうしても陣営に緩みが出てしまうことだと思います。2月の名護市長選挙の必死さと比べると、小泉進次郎氏が応援に行っていないことも含めて、力の入れように差があるのでは?といった意見も永田町界隈からは聞こえてきます。また、土曜日に何か政権にスキャンダルが出ると、それが日曜日のワイドショーで放送され有権者心理に影響が出る可能性もあります。このあたりはもはや「運」の話なので、陣営としては今回の情勢報道を受けて、もう一度組織・支持者を引き締めて、一票一票をどれだけ丁寧に積み上げられるかにかかっているのではないでしょうか。

花角英世(はなずみひでよ)公式サイト

約2割弱の態度未定者=約19万票弱

大接戦であることを考えると、態度未定者が約2割弱も存在している現状では、まだどちらが勝つか全くわかりません。この「約2割弱」というのを、前回新潟県知事選挙の投票率をベースに、投票者数を仮定して計算してみると約19万票弱ということになります。選挙戦はあと1日土曜日が残っていますし、投票日の各陣営の動きや、天候によっても結果が変わりそうです。

まさに「投票箱が閉まるまで」何が起こるかわからない選挙になってきました。両陣営のみなさん、最後まで頑張ってください。


編集部より:この記事は、選挙プランナー、松田馨氏のブログ 2018年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は 松田氏のnote をご覧ください。

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松田 馨
選挙プランナー、株式会社ダイアログ

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