改元前に死刑執行に踏み切った上川陽子法務大臣の勇断を評価する

早川 忠孝

NHKニュースより:編集部

今日、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚他計7名の死刑囚に死刑が執行された。

死刑廃止論者の方々からは異論が出るかも知れないが、大方の世論は死刑執行のニュースを淡々と受け止めているようだ。

松本死刑囚については死刑判決が確定してから約11年10月が経過しており、死刑の執行がなされないままにこのまま過ぎると、それこそ法の正義が貫徹されないで終わってしまうかも知れない、という懸念もあったはずだから、この時期に死刑執行がなされたのはまさに上川陽子法務大臣の英断によるものだと言っていいだろう。

かつて、鳩山邦夫法務大臣の時代に、死刑の執行は機械的に行えないものか、という発言を鳩山法務大臣がして物議を醸したことがある。

死刑の執行を機械的に行えないものか、という発言は、如何にも死刑をエスカレーター式に行えないものか、という趣旨の発言のように聞こえるかも知れない。

しかし、死刑囚の内の誰に対して死刑を執行するか、いつ執行するか、という判断を大臣が一人でしなければならない、ということが如何に大変なことか、如何に重いことかということを鳩山邦夫氏は十二分に認識されていたからだろうと思っている。

私も法務大臣政務官を務めていたことがあるから、死刑の執行についてはそれなりに関心を払っていたが、在任中死刑執行指揮書を見たことはない。

法務大臣政務官は、死刑の執行が終わってから死刑執行の事実と事案の概要の報告を担当者から受ける扱いになっているようで、死刑執行の稟議に加わらない、ということだろう。

ご自分の宗教的信念から死刑の執行指揮を回避し続けた法務大臣も、かつてはおられたようである。

しかし、上川陽子法務大臣は、オウム真理教の確定死刑囚に対しての死刑執行に踏み切られた。

来年の5月には、改元になる。
改元ともなると、恩赦の話が出てくることは必至である。
オウム真理教の確定死刑囚を恩赦の対象にすることが出来るかどうか、というのは結構難しい判断になりそうだった。

ここは、上川陽子法務大臣の英断を讃えておくのがいいのではないかしら。

とにかく、これで法の正義は貫徹されたことにはなる。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。