本気でやる気あるの?音喜多新党に対する3つの提言(特別寄稿)

2018年08月28日 06:01

東京都議会議員の音喜多駿氏が新党(仮)を立ち上げられるということで、東京のローカルな話題ではあるものの、筆者のライフワークである米国政治の観点から一人の東京都民として提案を行いたい。

「あたらしいあたりまえをつくろう」というキーフレーズの下、「新たな都市型政党として、「小さな政府」「開かれた行政」「自由主義社会」を明確に目指していきます」ということで、筆者としてはこの理念にまずは賛同したいと思う。

その上で、音喜多氏もご自身で述べているが、この「第三極と言われたベンチャー政党が掲げていた理念・政策」を掲げた試みがなぜ失敗してきたのかを踏まえて、米国政治の例を引いて成功の要諦について3つ申し上げたい。

音喜多氏公式サイトより:編集部

(1)「しがらみ」ではなく「つながり」を構築すること

日本の第三極政党は「しがらみがありません!」ということを強調する傾向があるが、これは「政党として何の支持基盤もありません」「各議員が自分達で何をやるかを決めます」ということに等しい。その結果として、毎度「無党派層」という形なき有権者に応援されて当選した議員たちが、新党の情勢が悪くなるとその後の自らの政治的生き残りを意図して独立or引き抜かれて、第三極政党は雲散霧消してきた歴史がある。

そのため、従来までの既得権に塗れた「しがらみ」ではなく、改革意志を持った「つながり」としての有権者組織・ネットワークとの立ち上げ支援・ネットワーク構築が必要である。米国においても共和党内で小さな政府を主張する勢力は、浮動票頼りではなく確かな組織・ネットワークに支えられている。自らの政党の理念に沿う「つながり」であれば積極的に持つべきであるし、形なき無党派層ではなく「見える化」された有権者が存在することが政党としての基盤の安定・拡大に繋がる。安易に有権者団体・ネットワークを「しがらみ」として遠ざけるのではなく、理念が共有された「つながり」を持つ団体と提携すること、そのような団体が無ければ立ち上げを支援することが大事だ。

(2)政策立案システムの近代化を行うこと

従来までの政策立案は、行政機関が事実上行ってきたと言っていい。これは国も地方もほとんど変わらないだろう。ごくまれに議員が独自に法案提出や条例提案を行うこともあるが、筆者は議員の政策立案力を過大評価するべきではないと思う。議員は自分で考えているようで、実は役人が事前に考えた前提で行動していることが多い。これでは「小さな政府」を実現することなど夢物語だろう。

米国の場合は、政策は民間のシンクタンク(研究機関)でコンセプト・骨子が考えられて、議員がそれらのペーパーを受け取って議会・行政と交渉する。小さな政府を目指すシンクタンクは民間からの寄付で成り立っており、行政機関からのしがらみを受けない。役所からの委託研究を安易に受けているような日本のシンクタンクのような存在は、米国共和党保守系(小さな政府を目指す)の人々からはシンクタンクと看做されていない。

日本で上述のシンクタンクが寄付を集めることは一朝一夕では難しいので、音喜多都議の発信力を生かして、新党の政策立案のための寄付を政党として募り、集まったお金で「政策立案スタッフを雇う」か「外部の研究機関に発注する」ことが望ましい。そうすることで、日本・東京に政策市場を育てて、行政に依存しない独立した民間の政策立案環境を構築する方向に持っていくべきだ。(当然、政務活動費もこのための費用に投入してほしい)

(3)有権者に対するエンパワーメントを行う機関を創設すること

従来までの政党の政治塾はどうしても「選挙に出たい人」を中心に教育を行うことが重視されてきた。しかし、それだけでは世の中は変わることはない。所詮、選挙に出たい人など、相当変わった一部の少数派の人間に過ぎない。世の中の大半の人は自らの仕事や市民生活で忙しく議員になろうなんて人はいない。

しかし、米国では多様な市民のエンパワーメントを行う団体が存在している。そこに行けば、政策のコンセプト、政治活動、選挙活動へのかかわり方をレクチャーしてくれる。「政治に関わる」=「立候補する」ではない、もっとライトな形での参加の仕方を教育する仕組みが必要だ。そして、これは行政機関ではなく政党またはその支援組織が行うべきである。

筆者が思うところでは、新党が「小さな政府」「地方自治」に基盤を置くのであれば、各自治体の事務事業評価(市役所・区役所の仕事の評価票)を読んでみる会を開くことは面白いと思う。東京都内でも常識を疑うような事業に湯水のごとく税金が何千万・何億円も投入されていることが誰にでもわかる。「小さな政府」「大きな政府」という言葉遊びだけではなく、たとえ「大きな政府が必要」という主張の人でも役所の現実の事業結果を見せれば意見は変わる。お祭りなどの催し物に行くだけではない、政策理念を持った地に足の着いた活動をしてほしい。

以上、筆者からの提案は3点であり、若い議員である音喜多都議がチャラチャした新党ではなく、地道に日本の政治文化を変える骨太の新党を作ることを望む。このような作業は時間がかかるものであり、音喜多都議にはじっくりと腰を据える覚悟を持って取り組んでほしい。

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