都の独自ルールが大問題!療育・児童発達支援施設の入所基準見直しを

音喜多 駿

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

先週からネット上でこちらの記事が話題になっており、私の元にもSNSを通じて相談が届きました。

諦めざるを得ないのでしょうか、、、

自らも医療的ケア児の子どもを持つ保護者の方が、住み慣れた地域に児童発達支援施設を立ち上げるべく奔走。

物件を探し、行政と折衝し、ようやく開設までの道が見えてきたところで、東京都から告げられたルールは

「自分が立ち上げた施設には、自分の子どもを通わせることはできない」

というもの。

この方によれば、そのような規定はあらゆる法律・通達・ガイドラインに記載がなく、これまでも一切説明されなかったとのこと。

それでも都側の担当者は

「子どもの療育に親が参加してはいけないことは当たり前すぎるので、敢えて記載はしていない
「他県では認めているかもしれないが、東京都では公平性の観点から認めていない

と取り付く島もなく、開所の目処が施設が暗礁に乗り上げる危機にある、との内容でした。

本件について、早速本日AMに都の担当者と連絡を取って事実確認しました。

まず、東京都が独自ルールで「施設運営者の子どもを通わせてはいけない」としていることは事実で、このルールは2015年からと、比較的最近になって運用が開始されたそうです。

2015年にこのルールができたきっかけは、

・他の保護者から不公平ではないかとの訴えがあったこと
・施設運営者が、自分の子どもを実際に通わせている日数以上に通わせていることにして、都に対して補助金の水増し請求を行う不正が発生したこと

の2点。

とりわけ後者は悪質で、まさに「一部の人の悪意によって、善意で行動している多くの人が被害を被る」という典型例ですね…。

こうしたことを防ぐために、都が独自ルールを設けようと考えたことについては、一定程度の理解はできます。

しかし、問題はここから。

では2015年から運用開始されたこのルールが、どこかに文書で規定されているかと言えば…

一切なし!

ブログ主の方が主張しているように、法律・条例・行政通達など、公務員が行動の根拠とするべきあらゆるところに、このルールは存在しないとのこと。部内では共有されていたものの、正式な文書にはありません。

これは東京都側の明確な瑕疵であり、極めて重大な問題です。

公務員は、法令根拠に基づいて行政事務を行わなければならないというのは、絶対に崩してはいけない大・大・大前提です。

我々の税金を取り扱い、市民に対して一定の強制力を持つ公務員が自分の「裁量」で仕事をすることが許されれば、あっさりと権力の濫用が起きてしまいます。

だからこそ公務員というのは「紙(文書)」が大好きで、細かいことまで文書にしてルール化し、それに従って行動します。

法律や条例、あるいはその下で行政通達や内規をつくり、公務員個人の主観や裁量が入り込む余地を無くすことが、行政機構の特徴であり必須条件なわけですね。

ところが今回、東京都はこうした法令根拠を依ることなく、2015年から「マイルール」を運用していました

これはもう行政として完全にNGな行為で、そのことについては指摘を受けて都側も自覚をしている様子でした。

ならば、ここから都が取るべき道は2つしかありません。

・文書化されている法令根拠に戻って、謎のマイルールについては撤回する(いま明文化されているルールの通りにする)
・新たな行政通達やガイドラインを作り、マイルールにしっかりと根拠を作って明示する

もちろん私としては前者を望みますし、その方向で早急に結論を出してくれるように強く要望を致しました。

公平性の担保はもちろん重要ですが、

「運営者の子どもは絶対に入れない」

のではなく、他の利用者と同じ条件で入所を審査するなど、公平性を担保する方法はあるはずです。

いずれにせよ、ここまで明白な瑕疵が明らかになった以上、都は早急になんらかの対応を表明しなければなりませんし、そうなると思います。

本件については引き続き、都の対応を注視し、また動きがあれば随時ご報告をして参ります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。