何と熱い本なのでしょうか。ページを開くと、そこから沸騰した水蒸気がシューシュー吹き出してきそうな、注意しないとヤケドしてしまう作品です。
タイトルからして「死ぬこと以外かすり傷」と過激。
さらに文中には
「上司に許可を求めながら歴史に名を残した人はいない」
「正しいことよりも楽しいことを」
「球拾いをコツコツ続けてもプロにはなれない」
「スピードは熱を生み、量は質を生む」
「暇な人間は思考停止したまま慣習を踏襲する」
「ピカソは何で天才なのかわかるか?多作だからだ」
「量だけは裏切らない。誰よりも動け」
と、箕輪氏の仕事に対するスタンスが、巧みな例え話と体験談によって明快に示されています。
一見、若者の暴論のようにも見えますが、冷静に考えれば、真っ当なのは著者の箕輪氏の方です。それを苦々しく思う方が、既に時代に取り残された過去の価値観に毒されているのです。
今の日本は、価値観の大転換期です。コンセンサス重視で、失敗しない方法ばかり考える。そんな今までのやり方よりも、失敗を恐れず、スピードを重視して、既存の価値観の枠から外れることを気にしない。そんなやり方の方が成功の可能性が高まっているのです。それに気が付いている人たちは、既に行動を始めて成果を出しています。
天才編集者として華々しく活躍する箕輪氏ですが、最初から業界の花道を歩いて来たわけではありません。大学時代は昼から酒に溺れ、最初の出版社でも緩い営業担当として適当に仕事をしていたそうです。そんなやる気のない営業担当が生まれ変わったのは、与沢翼という熱狂できる対象を出会ったから。熱狂できるものにハマって、そこから一気にブレイクしました。
私が、この本の中で一番好きな言葉は
「努力は熱狂に勝てない」
です。努力していると感じた時点で、もう熱狂してる人には勝てない。だから、誰かに決められたことを一生懸命やるのではなく、自分自身で熱狂できる事を探す。そして、それをひたすら極める。そこから、新しい価値が生まれる。
箕輪氏のリスクに比べたら、自分の取っているリスクの何と小さいことか。無謀なリスクを取れという訳ではありません。人生、もっとワクワクできるなら、その為にギリギリの挑戦をしても、大したリスクではないと言うことです。
自分も本当に熱狂できることだけを人の目など気にしないでやろう。そう再認識させてくれ、エネルギーを充填して元気をくれる素晴らしい一冊でした。
<紹介図書>
「死ぬこと以外かすり傷」箕輪厚介
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。