築地で出会った外国人労働者から考える豊洲の労働問題 --- 奥村 シンゴ

2018年10月13日 06:00

豊洲市場がオープンし、13日から一般客も見学が可能になり、観光客などで大混雑が予想される。

先日、83年の歴史に幕をおろした築地市場を見て回った。築地で出会ったある店員との話や過去の事例から深刻な労働問題の実態を考えたい。

移転1ヶ月前で豊洲の雇用が不確定な外国人労働者

場外市場を除いた部分は、豊洲へ移転前とあってか外国人観光客を中心に多くの人でにぎわっていた。

私は場内市場の人気寿司店「寿司大」や「大和寿司」を目指したが、早朝から行列ができ2時間近く待っている人もいるようなのであえなく断念。

別の人気店も行列ができていたが、店前にいる女性店員に待ち時間を聞いたところ、「30分程で店内に入れますよ」と言われ、待つことに。

この店に勤務し、3カ月程経過する台湾の20代前半の女性店員に話を聞いた。

私「勤務していきなり築地から豊洲へ移転決まったんですね」

女性店員「驚きました、来ていきなり移転ですからね」と苦笑い。

私「豊洲へ移転後も働けることは決まってるんですか?」

女性店員は「いえ、社員の方は決まっているそうなんですが、私はまだどうなるか・・・」

私「大江戸で働きたいでしょ?」

女性店員「働きたいとは思っているけど、無理なら台湾へ帰ります」

私「社員さんは決まっているんですか?」

女性店員「社員さんは大丈夫だそうです」

私「なるほど、豊洲でも働ければいいですね、また食べに行きます」

女性店員「働いていればよろしくお願いします」

私が話を聞いたのは、豊洲に移転する1ヵ月程前で目前に迫り、雇用が確保されていないというのは深刻だ。

豊洲市場へ移転し、働く姿がみられたらいいのだが…。

 過去にも労働問題が…

「豊洲移転に揺れる築地市場の労働問題 健康診断実施していない事業場3割、深夜手当の未払い」(キャリコネニュース)によると、一昨年の12月に東京労働局・中央労働基準監督署が実施した調査で違法が発覚した。

雇用時の労働条件を書面で交付していない事業所が10%、36協定を届け出ていないケースが20%、6ヶ月以内に1回の健康診断を実施していない事業所が37か所、30%以上…、おそらく氷山の一角にすぎないのではないだろうか。

日刊スポーツによると、築地で働く女性たちで構成される「築地女将さん会」のアンケートで築地市場の水産・仲卸事業者全535店舗に12項目のアンケートを実施し、261店舗の責任者から回答が集まった。

「豊洲市場の問題点は解決したと思うか?」との問いでは「全く解決していない」が46%、「ほとんど解決していない」が42.9%。

移転計画そのものは、「今からでも中止すべき」が31.4%、「もう一度凍結して話し合うべき」が38.7%、「このまま進めてもよい」は4.6%だった。

つまり、豊洲市場移転問題は未解決のまま豊洲へ移転することに納得していない労働者が大半を占めている。

会長の山口タイさんは「東京都は当たり前のように移転を進めているが、市場の中はそんな雰囲気ではない。それを小池都知事にも分かって欲しい」と訴えたという。

食の安全性、施設老朽化、面積の狭さにメディアは焦点があたりがちだ。しかし、豊洲移転後の場内市場、築地に残り営業を続ける場外市場共に「業者や労働者の労働の安全性を守ること」の課題を感じる。

奥村 シンゴ フリーライター
大学卒業後、大手上場一部企業で営業や顧客対応などの業務を経験し、32歳から家族の介護で離職。在宅介護と並行してフリーライターとして活動し、テレビ、介護、メディアのテーマを中心に各種ネットメディアに寄稿。テレビ・ネット番組や企業のリサーチ、マーケティングなども担当している。

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