中国崩壊で世界経済は好転する

2018年10月25日 06:01

米中貿易戦争と呼ばれていたものが、実は第二次冷戦の始まりであったことは、10月20日にトランプ大統領が、ロシア(旧ソ連)との核戦力(INF)廃棄条約を破棄する意向を発表したことで明らかになった。

第二次冷戦が本格化したらどうしよう……と心配な読者も多いだろうが、結論から言えば心配はいらない。むしろ日本や米国を中心とする先進国(EU加盟の多くの国々は微妙だが…)にはプラスに働く。

amela Drew/Flickr:編集部

さかのぼれば、日本経済が<絶好超>のバブルから奈落の底に突き落とされたのが1990年。年初の日経平均の急落がきっかけとなった。奇しくも、1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連邦の崩壊は、そのバブル崩壊を挟むように起こった。

もちろん、単なる偶然かもしれないが、日本経済の長きにわたる低迷が冷戦の終了とともに始まったのは事実であり、冷戦終結後の日本経済はぼろぼろであった。

ちなみに共産主義中国を大発展させた改革・開放政策は、偉大なる政治家鄧小平によって1978年に始められたが、天安門事件でとん挫した改革が再び軌道に乗り、超速の経済成長の基盤が整ったのは、1992年の鄧小平による「南巡講話」以降であり、やはり日本のバブル崩壊と重なる。

なぜ、冷戦後の日本経済が不調であったのか?長引くデフレがその象徴であることを考えれば、中国、ロシアなどの旧共産圏や発展途上国(後進国)が世界の貿易市場に参加し、人間の安売り(低賃金)でのし上がったことが大きな原因といえるだろう。

リーマンショックまでは、日本以外の先進国は、その諸外国の低賃金の恩恵を受けて活況であったのだ。しかし現在では世界中に工場が乱立し、先進国も含めた国々において、供給過剰が常態化しているため薄利多売によるデフレから脱出できない。

1800年頃の産業革命以降、資本主義が発展成長する中で、この供給過剰を解消してきたのが世界規模の戦争である。第1次世界大戦の犠牲者は6000万人、第2次世界大戦の犠牲者は8000万人ともいわれ、その悲惨な経験は決して忘れるべきでは無い。

しかしながら、1929年のNY株式市場暴落に端を発した大恐慌がニューディールをはじめとする諸政策によってもどうにもならず、結局1941年からの戦争によって救われ、戦後米国が世界のGDPの半分近くを生み出す強大な国家になったことは現在の定説である。

冷戦も思わぬ突発事項で熱い戦争(本物の戦争)になることは十分考えられる。その覚悟もしておいた方が良いと思うが、現代においてホット・ウォーはまったく割に合わない。相手国を占領しても、統治が大変なだけで(当然テロが頻発する)、植民地農園を経営しても大した利益は生まれない。だから、北朝鮮も含めたほぼすべての国が本音では本物の戦争は望んでいない。

しかし、「ならず者国家」や「悪の帝国」が存在する限り、国民国家が防衛行動をとるのも当然である。
「経済制裁」や「貿易戦争」で相手国の経済を封じ込めるのは極めて賢い戦略であるといえよう。

旧共産圏や発展途上国(後進国)の大部分が供給過剰の原因になっているが、その中でも最大の元凶は共産主義中国である。WTOなどの自由貿易の恩恵を最大限に受けながら、自国内では、外国企業に対する恫喝を繰りかえす「ルール無用の悪党」(タイガーマスク風)が退場すれば、世界の供給過剰=デフレは一気に好転し、日本や米国の経済は繁栄する(ただし、一時的な混乱は避けられないかもしれないが……)。

大原 浩(おおはら ひろし)国際投資アナリスト/人間経済科学研究所・執行パートナー
1960年静岡県生まれ。同志社大学法学部を卒業後、上田短資(上田ハーロー)に入社。外国為替、インターバンク資金取引などを担当。フランス国営・クレディ・リヨネ銀行に移り、金融先物・デリバティブ・オプションなど先端金融商品を扱う。1994年、大原創研を設立して独立。2018年、財務省OBの有地浩氏と人間経済科学研究所を創設。著書に『韓国企業はなぜ中国から夜逃げするのか』(講談社)、『銀座の投資家が「日本は大丈夫」と断言する理由』(PHP研究所)など。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
大原 浩
国際投資アナリスト/人間経済科学研究所・執行パートナー

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑