バルト、小さな旅

2018年10月29日 11:30

コマ1:火遊びする子たち
コマ2:「火遊びしたら寝しょうべんするぞ」と大人が注意する。
コマ3:「ほな水遊びしたらケツから火ィこくんけ」と水遊びして言い返す子ども
コマ4:その子が寝てるときケツから「ボッ」と火をふく
これはぼくが小学校5年生のとき同級生の天才・竹市くんが描いた4コママンガです。
原本は紛失しましたが鮮やかに覚えています。
天才やと思いました。
天才・竹市くんは高IQの結社MENSAの代表です。
ロザン宇治原さんや茂木さんや中野信子さんらが会員だそうです。
天才・竹市くんはほかにも怪しい4コママンガを描いていました。
ソ連のブレジネフがグロムイコ外相と何かしでかして佐藤栄作総理が困る話とかでした。
当時、ソ連は盤石の怖い国でした。
バルト3国は中高の歴史で習いましたが、その10年ほど後にソ連が崩れ、独立するなんて想像もできませんでした。
エストニアのタリンはヘルシンキから船で1時間ほど。
これまで2度行きました。
最初は独立間もなく。
2度めは10年前。
その後この国はIT対応や電子政府、ブロックチェーン対策などで名を上げ、注目を集めました。
この日も国会議員の視察団が来ていました。
エストニアの電子政府。
ブロックチェーンを使ってIDを国民に付与し、納税、銀行、交通、学校の成績管理、医療のカルテ情報などを電子化。
世界市民がオンラインで会社設立などを行えるeレジデンシーも進めています。
ぼくらのポップ&テック特区CiPもシステムを導入して進めたい取組です。
ソ連が支配したバルト3国では、ラトビアが自動車や造船、リトアニアが電子産業を分担していたのに対し、エストニアがITを担っていた。
独立後、役所やATMなどを設置する予算もなく、国民に様々な行政サービスを提供していくには、ネットを活用するしかなかったという事情があります。
さらに強烈なのは、民族の存続というモチベーション。
ロシアやドイツから侵略されてきた歴史は、再び国土が支配される危機感を共有させる。
今後、他国に侵略され、国家が消滅しても、ネット上のソフトとしての国家を残す。
IDを持つ国民・同胞が生き残る。
それがIT立国に向かわせたといいます。
落合陽一さん「日本再興戦略」は、人口減少と高齢化は、
1.省人化へのラッダイト運動が起こらない
2.ソリューションを先に生んで輸出できる
3.教育にコストがかけられる
3点で好機とみる。
賛成です。
ぼくらも危機をチャンスに変えるモチベーションがほしい。
落合陽一さんはブロックチェーンによる脱中央化を説きます。
ぼくも期待します。
しかし30年前、大前研一さん「平成維新」が政府・霞が関の解体を説いたものの、政治活動で失速し、実現に向かいませんでした。
テクノロジーで脱中央を実現させるインセンティブをぼくらは持てるでしょうか。
バルトで物思い。
3国とも、100年前の1918年に一旦ロシアから独立しました。
が、ソ連→ナチス→ソ連と占領され、また1991年に揃って独立。
似た過去を持ちます。
(LIZARDに「ミーシャ」って曲があったな。「浅草六区」のB面。)
3国、合わせた人口は660万人、北海道より少し多く、九州の半分。
合わせたGDPは9兆円、北海道の半分で九州の1/5。
宮城県や新潟県ぐらい。
3国で一番多い都市リガで72万人。
熊本市や岡山市ぐらいです。
(杉原千畝像@ヴィリニュス)
3国を旅すると言っても、
札幌・函館・旭川を行くようなもの。
仙台・石巻・気仙沼を行くようなもの。
小さな旅です。
(STEBULKAS、リトアニア語で「奇跡」。89年にエストニア・タリンから675kmを200万人が手をつないで抗議したリトアニア・ヴィリニュスの終点。)
北海道や九州や四国が独立したら立派な3国です。
本州と同盟しつつ、それぞれロ、中、EUと切り結び、国連で一票ずつ持ったら、安定しないだろうか。
などと夢想。
(すっぱいスープをいただく@ヴィリニュス)
飛行船の形に似たリトアニアのじゃがいも団子はツェペリナイと呼ばれます。
クセになる食べ物。
ツェッペリンの格納庫だったところが市場になっています@リガ。
これも占領の刻印。
ギルド集会所、ブラックヘッド。
ナチス空爆で破壊されたものを再建したのは、東独ドレスデンのフラウェン協会と同じ。
ナチス前のものは大切にします。
ユーゲントシュティール建築、ドイツ語でアール・ヌーヴォー建築。
帝政ロシア領時代、映画監督エイゼンシュテインの父親が中心となってリガに整備されたものです。
市街に残るスターリン建築はソ連領の東側時代の名残を恨めしくとどめますが、こちらは大切に遺しています。
ユーゲントシュティールは、青空に映えます。
青空がいっぱい。
アラスカほどの緯度にあって、実に深い青です。
ここからぐっと南欧に下がると、太陽がいっぱいになります。
青空に、東的なるものを捨てようとしています。
無骨なフォルムで黒い煙を吹く車、
横長で飾り気のないビル、
古風な電話機と不思議な形の電話ジャック、
スカーフを巻いた女性の怖い顔、
停電、
固いパンと硬いトイレットペーパー、
商品のまばらなショウケースと長蛇の列。
2015年からは3国ともにユーロですし。
デジタル映像満載のラトビア自動車博物館には、ブレジネフが事故を起こしたロールスロイスの車体がそのまんまこれみよがしに展示され、運転席にはブレジネフの人形が置かれています。
嫌いなんやなぁ。
こういうネーミングがOKというのは、ある意味、自由。

編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年10月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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