教員たちを呪縛する「給特法」とはなにか

2018年12月16日 06:00

そもそも「給特法」とはなにか

ここにきて、にわかに注目を浴びてきた給特法にかんする議論。「給特法」とは、1971年に成立した「公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法」のことです。

教員の働き方の特殊性を考慮し、残業代を出さない代わりに給料月額の4%を「教職調整額」として出すことが決められています。この4%は、残業が月8時間だった当時の状況を踏まえたとされています。

中央教育審議会の特別部会が、12月6日に、教員の働き方改革に向けた答申素案をまとめました。長時間勤務の解消に向けた素案を示したということですが、法定の勤務時間を超えて働く時間の上限を月で45時間、年で360時間以内にするガイドラインを設けることや、これまで「自発的行為」とされていた授業準備や部活動指導を正式な勤務時間に位置づけることがあげられています。

調整額4%は前提がちがう時代の数字

昭和23年(1948年)の公務員の給与制度改革によって、公務員は1週間の拘束時間の長短に応じた給与を支給することとなりましたが、教員の給与については、勤務の特殊性から1週48時間以上勤務するものとして、一般公務員より一割程度高い俸給が支給されることになりました。そのため、教員に対して超過勤務手当は支給されないことになりました。

一方、残業が常態化しているのに、残業代が支払われないのは違法だとして、埼玉県の公立小学校の男性教諭(59)が、同県を相手取って、約240万円の支払いを求めた訴訟が行われています。埼玉県側は、支払い義務はないとして、請求棄却を求めて争う姿勢です。この教諭は定年間近で、後進の教諭のために現在の状況を改めさせようと義憤に駆られて裁判に訴えたようです。この帰趨は、どうなるのでしょうか。

教職の魅力とはなにか

以前にも述べましたが、教職は学生が忌避する職業になってしまいました。保護者はもちろん、教職を目指す学生も教員は残業代がつかないと知らなかったりします。辞めなければ定年まで勤められるということが数少ないメリットですが、これほどつぶしの利かない職業もありません。教職をやって身につく技術といえば、児童生徒の行動の統制くらいですから(これらも近年はブラック校則とか言われて問題になっていますし)。今どきの学生がその点にメリットを感じるのでしょうか、ね。

「給特法」の機運は高まるも働き方は変わるか

「給特法見直しの将来的な可能性について方策に書き込むべき」という機運が高まっています。ただし一部で。

Twitterでは、「#先生死ぬかも」という叫びが拡散して騒然としたそうです。過労で倒れる教員の悲痛な叫びが届くのかもしれません。

しかし、給特法が変わったからといって、教員の働き方が変わるのでしょうか。

教員の働き方の最大の問題点は、「教員ほど生きる力がない人はそうそういない」ということです。

「生きる力」のない人びとの末路

これは、教職がまったくつぶしの利かない仕事だということです。ふつうの仕事なら、何年かやっていれば、転職市場でそれなりの価値が認められます。けれども、教職はまったく価値が認められません。つまり、教職に就いたら、完全に職場にロック・オンされてしまいます。どんなにひどい待遇でも、それ以外の職場で働くという、ふつうの労働者なら当たり前のようにもっているオプションをもっていないのです。

こんな中で「給特法」だけ小手先で変えても、職場の雰囲気に負けて、みんな帰ってないから・・・と残業する教員が多数になるのは目に見えています。

教員のみなさん、もっと自分というものをもちましょう。ちゃんと自分の人生を生きましょう。

子供たちに生きる力の教育ができるようになるためには、まずあなたたちが生きる力を身につけなきゃね。

中沢 良平(元小学校教諭)

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