町田市:時代遅れの愛情弁当論に驚き

2018年12月16日 11:31

ネットで調べ物をしていたら、たまたま目についた記事に驚愕してしまいました。

町田市「中学校給食」問題、2万3000超の署名を集めるも不採択に 議員からは「給食は手抜き」「お弁当を作りたい人の気持ちを尊重」 –  ねとらぼ

これ一体いつの時代の話?と、何度も日付を見直しましたが、Twitterで検索してみたら、案の定炎上しており、どうやら平成30年現代の話で間違いないようなんですね。

町田市の中学校給食の実現をめざす会HPより:編集部

昭和40年代から義務教育中の給食など、当たり前すぎるくらい当たり前だった東京23区民の私からみると、この町田市の決定は「なんで?」と疑問を抱くというより、不思議でなりません。だって、あの頃の日本なんて専業主婦率めちゃくちゃ高かったはずですけど、「給食じゃなくてお弁当を作りたいんです!」なんて言ってる母親一人もいませんでしたよ。

では今の日本はどうなっているのかと言えば、あの頃よりずっと貧富の差が激しくなり、2015年の調査では子供の貧困率は13.9%。特にシングルマザーの貧困率が高く、ひとり親世帯の半数を超える50.8%が貧困に陥っていると言われて久しいですよね。そしていまや全国各地で子供食堂が全盛期ですよ。

いいですか、元貧困家庭育ちの私からハッキリ申し上げます、
否決した人達の言い分は、お弁当とデリバリーのどちらかを選べるんだからいいじゃないか!というもの。
けれども実際は、当初のデリバリー利用率は40%以上だったのに、今では2017年度の平均喫食率は約13.2%(クラスで1~2人)と、非常に低い結果になっているとのこと。

ほとんどの生徒は、自宅から弁当を持ってくるか、パンなどの「買い弁」をしている状態だっていうんですね。なぜならデリバリーがまずいのと、「デリバリーをする子供はお母さんがお弁当を作ってくれない子」という、スティグマを貼られてしまうから…ということなんですね。

それなのに、この町田市の自民党女性市議は「私は毎朝5時に起きてお弁当を作っている。それは自分が作りたいから。全員給食は、お弁当を作りたいお母さんの気持ちを否定している」と、自分が暴言を吐いていることに気がつかないのでしょうか?

あなたの好みの問題より、スティグマを貼られ辛い思いをしている、
子供達の方を早急に救わなきゃならない!と喫緊の課題がなぜ分からないのでしょうか?

ちなみに町田市議の議員報酬ですが、
月額報酬:55万円 年収:983万4000円だそうで、
いやこれだけ年収もらえるなら、5時に起きてはりきって(しかもえらそうに)弁当作る位どうってことないですよね。

問題は、平均年収243万円と言われる母子世帯、420万円と言われる父子世帯ですよね。
それこそ朝5時起きして、ワンオペ育児に奔走していても、貧困から抜け出せない世帯の人達ですよ。
その人達が、栄養バランスの良いお弁当を作るって大変なことだと想像つかないですか?
それでよく議員をやってられますよね。新聞読んでます???

さらに、保守系の男性議員とやらが「私も半年間子どもの弁当を作ったことがある。確かに大変。しかし親だから子どもに食べさせるのは当たり前。『学校給食で栄養を補う』なんて、そんなにあなたは手抜きをしているんですか? 学校給食がなくても、自分の家できちっとした食事を作って食べさせれば、栄養不足なんてことはない。専業主婦の家庭まで全部学校給食(に頼るの)は手抜きですよ」と声を荒らげる場面もありました。と記事にありますが、

いや、半年で弁当作りやめたあんたは手抜きじゃないの?
とこっちが声を荒らげたいです。

あなた「ネグレクト」って言葉知ってます?
子供食堂って聞いたことあります?
専業主婦でも、病気の人達もいるって気がつかないですか?
当たり前のことを当たり前に子供たちにやってやれない、悲しみを抱えた親たちがいること、もしかして想像する能力がないですか?

しかも、東京はほぼ全員給食が実現していて、実現していないのはわずか4市。
そして、その中でもワースト1位が町田市というのに、一番大切な子供の学校給食の財源すら確保できない自分たちの無能さを棚にあげて、その他の多くの東京都民に対して「手抜き主婦」と言い放つとは、喧嘩売ってんのか?と言いたくなりますね。

私は、全員給食のお陰でその点では惨めな想いをしないですみましたが、小学校のランドセル、中学校の学生鞄は当時貧困の母子家庭の子供に、クソダサい代物が、希望者には現物支給されるという政策を区が行っており、もちろん母が飛びついたために、すごく惨めな想いをしました。同級生にさんざんからかわれ、いじめられる羽目になりました。

贅沢を言うなと言われるかもしれませんが、思春期の子供たちが、他の生徒と歴然とした経済格差を見せつけられて、学校に通うことって本当に辛い日々なんです。

だからおそらく親の事情で、不本意ながら少数派のデリバリー給食派にならざるを得ない子供達がいると思われ、是非とも改善してあげて欲しいと思います。

ちなみに上記発言をしている議員が誰なのか?
お知りになりたい方は、こちらの映像からどうぞ。

町田市議会委員会録画中継

町田市の皆さん、めげずにどうか運動を続け、スティグマを貼られている子供達のためにも、全員給食を勝ち取ってあげて下さい。応援しております。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年12月16日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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