移民が殺到した米墨国境の街、ドラマはまだまだ続く

2019年01月08日 06:00

新年に入って、中米から新たな集団移民「キャラバン」が米国に向けて出発しようとしている。その規模はこれまで最高の15000人だという。雇用、安全、機会の到来といったことを見つけることがほぼ不可能であるが故に仕方なく発展ある未来を希望して米国を目指すのである。

昨年10月中旬に初めてホンジュラスで誕生した米国への移民を目指す集団移民「キャラバン」はメキシコの米国と国境を接する人口130万人の都市ティフアナを目指した。

キャラバンは中米から4500キロの距離を凡そ45日かけてティフアナに到着。その数は6,000人とも8,000人、いやそれ以上だとも言われていた。何しろ、移民について同市局や連邦局が正式に統計を取っていないことから、その数は正式には掴めていないというのが実態だったという。

その後、移民の数がある程度掴めるようになったのは彼らを収容している2か所にそれぞれ2122人と744人が留まっているということを市当局が把握したからであった。ところが市当局が当初推計したのは6151人だったということから凡そ3000人余りが行方をくらましたということで騒ぎになった。

この3000人余りが行方をくらましたことは世界の主要メディアで取り上げられた。あたかも突如蒸発したかのようにだ(参照:proceso.hn)。

彼らの多くは不法に米国に侵入したと推測されている。しかし、それが容易でないことは自明だ。というのも、それを闇で商売にしている道先案内人は需要が急増したと見て、ひとりにつき4,000-8,000ドル(44万円ー88万円)を要求するようになったというのである。この料金だと貧しい移民では払えない。この料金だと以前は中米から米国の国境までを案内するに相当する金額だったという。人の弱みに付け込んで彼らは値上げしたのである。だから、お金のない3,000人余りが米国に不法入国したということは一般に想像し難いのである。唯一、42人が米国に不法入国したというのは明らかになっている。

250ドルから300ドル(27,500円―33,000円)で国境を通過する案内人もいるという。それは最終的には米国の国境パトロールに引き渡されるのがおちだとされている。

もうひとつ貧困の移民が不法に入国できる方法は25キロの大麻かコカインを背中に担いで国境を抜けることだそうだ。この場合は、案内人と食料はついている。但し、見つかれば逮捕されて収監されるか、麻薬を失えば密売業者に殺害されるのがおちであるという(参照:publico.esabc.es)。

集団移民が滞留しているティフアナ市は3つの麻薬組織カルテル「ティフアナ」、「シナロア」、「ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン」が縄張り争いをしていることからティフアナはメキシコで最も暴力が横行している5大都市のひとつとされている。しかし、他の米国と国境を接している都市に比較してまだ安全面でましだということでティフアナを目指すのだという。ちなみに、同市で昨年2200人が殺害されたという(参照:publico.es)。

中米からティフアナまでは集団で移動していたが、一旦ティフアナで滞留するようになると、各自が自分の思惑で行動する傾向にあるという。それまでの団結が崩れるのだ。

中米からの集団移動は各自が集団の中にいるということで途中暴力組織からの危害を避けることができ、また警察も集団を相手では取り締まりを緩める傾向にあった。ところが、ティフアナに到着してから国境を抜けて米国に密入国するには集団では目立ち、各自の独自の行動に依存するようになる。

この時点で4つの行動に分かれるという(参照:publico.es)。

①ここまで来たが米国への入国は難しいとして帰国する。

②闇の道先案内人に頼って違法入国を試みる。

③米国への移民申請をして待機する。

④ティフアナに留まって仕事を見つけて生活費を稼いで事態の変化を待つ。

ホンジュラス出身の4人の子持ちのレスビア・ノエミさんは彼女の母親が歩けるようになるための手術代を稼ぐのに米国への入国申請をしたそうだ。彼女の申請は5000人中の1483番。5000人の申請者の前にすでに2000人の申請者がいるというのである。検問所の裁定は1日に数十人の申請書を審査するだけだから時間を要している。しかも、入国が認められる比率は僅かに20%から25%という厳しい関門だそうだ。

同じくホンジュラス出身のエドゥアルド・アントニオ・アビラさんは元警官であったが、暴力組織M-13とB18につけ狙われているとして米国への亡命を希望している。彼の背中には一度彼らに刺された傷跡があるそうだ。亡命申請に必要と思われるすべての証明書を持参しているという(参照:elconfidencial.compublico.es

メキシコはアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(アムロ)が昨年12月に大統領に就任して、それまでの市当局から連邦局に管理の責任を移して2つの選択を移民に与えているそうだ。①メキシコに亡命を申請する。②人道ビザを申請する。

既に400人が亡命、600人が人道ビザをそれぞれ申請したという。人道ビザを選択する人の方が多いそうだ。2週間で取得できるということと、就労もできる。1年間の有効期限は更新可能。一方の亡命申請も就労できるが亡命の認定に半年から1年を要する。移民者の多くが米国に移民することを夢に抱いていることから、メキシコで亡命するのではなく、同国で人道ビザを取得して、米国に移民できるようになるまで機会の到来を待つという考えでいるようだ。一昨年は14,600人がメキシコへの亡命申請あいたそうだ(参照;nytimes.com)。

仕事に就くといっても、ティフアナでの仕事も賃金は安すぎて移民には生活は容易ではない。前述の元警官アビラさんは酒場で日給100ペソ(560円)だという。米国人の観光者のチップを期待しているという。

昨年12月第1週目で600人がホンジュラスに自主的に帰国、或いは拘束されて送還されたそうだ(参照:hispantv.com)。これからも中米からの集団移民の誕生は止むことがないであろう。

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