心愛ちゃんの母親の逮捕は妥当か?

2019年02月05日 15:00

今、社会を悲しみに陥れている、心愛ちゃんの虐待死事件。
虐待を黙認したとのことで、この度、母親が逮捕されたのには驚愕しました。

止めないのは虐待と同じ???
だったら逮捕されるべきは、児相であり学校の方じゃないですか!?
しかもたった1回脅されただけで、大の大人が雁首そろえて、ビビって作文をわたしたっていうのに、なんで母親に暴力が止められるんですか?

心愛ちゃんの作文にもありましたが、この母親は心愛ちゃんを一緒になって虐待していたわけでもなく、むしろ自分自身がDVの被害者だったわけです。

「母親がDV被害者」と、親族が沖縄の糸満市で相談に訪れていますが、そこで行政も相談を受けただけで、実質的な介入を何もせず、柏市の児童相談所も、バカみたいに両親からの聞き取りだけで、一時保護をを解除し、しかもその時に自分たちは仕事をやってます感を出すために「養育の中心は母親が行うこと」なんて、非現実的なことを言い渡して家に帰してしまったんですよ。

その聞き取りの際に、母親にDVの有無を尋ねると、「ないわけではないです。」と答えて、あとはだんまりだったとか。

DVの被害にあっている人は、その恐怖心から、人なんか誰一人信じられないし、分かりやすくいえば、DV加害者に恐怖で洗脳されている状況です。
「こんな状況は嫌だけど逃げたらもっとひどいことが起こる。」と思っています。
っていうか、このくらいのこと、今や支援者じゃない一般人でも殆どの人が知ってるんじゃないですか?

しかもこの母親は、心愛ちゃんが助けを求めたために、父親が激高し、事態がますます悪い方向にいったことを身にしみて感じていたわけですよね。
「相談に載ります。秘密は守ります。」なんて言われたって、それがいかに他人事で、安直な言葉で、そんな言葉をうかつに信じられないと、ますますその思いを強くしている訳ですよね。

それでも勇気を出して「ないわけではない。」と答えた。
これがですよ「そんなこと全くありません!」と答えたならまだ分かりますよ。
「ないわけではない」ってことは=「ある」ってことじゃないですか。
それなのにさっさと保護解除したのは児相ですよね?

児童相談所ってなんのために、税金払って職員置いているんですか?
この状況で、一時保護解除ってどういう判断だったんですか?
DVや虐待のこと全く知らない人が、児相の職員やってるなら、専門性の高い、継続的にDVや虐待の支援をしている、民間団体に委託した方がいいですよ。

この母親は一度離婚しているのに、2017年にはわざわざこの父親と再婚しています。
このことだけでも、この母親がいかに孤独で、DVのサポートが受けられていないかを物語っています。

私たちの仲間の中にも、時々こういったDVの被害者がいます。
私たちがどんなに「離れなさい」といっても、最初はその勇気がどうしても持てません。
そしてこういう女性は大抵実家の親もDVの加害者・被害者のもとで育っていて、自尊心も自信も根こそぎ奪いとられたまま大人になり、その上、周囲の大人に相談しても「そんなもんよ。」などと言われてしまう、世代に渡って、あきらめしか解決策にない家族である場合が多いです。
異常な家庭内の緊張に生まれた頃からさらされているので、それが異常だと分からないのです。

けれども手厚いサポート体制があれば人は変われます。
私たちの場合も、自助グループに通い続け、否定せず、励ましてくれる仲間に囲まれているうちに、家を出る決心ができてきます。

その時も、夫がいない間を見計らって家から飛び出すわけですが、そういう引っ越しの際にも、一人では危ないし、恐怖心で挫折しがちなので、私たちが一緒にサーっと行って、引っ越しを手伝って逃げてくることもやります。
ホントそういう時はこっちもドキドキです。

すぐに入れる部屋を用意してあげたり、部屋の保証人になってあげたり、時には子供連れで我が家に避難して貰ったこともあります。
その時、DV被害にあっていた母親である仲間から、「ねぇ、これ私たちがいるから演技している訳じゃないよね?日頃から、こんなに穏やかに話をしてるの?」と、聞かれたことが忘れられません。

DV女性に必要なのは、孤独ではないと信じて貰うこと、あなたの味方であって、決して裏切らないと態度で示すことです。
そして少しずつ信頼関係を作って、行動変容を起こしてもらうしかありません。

「行政でそこまで出来ない。」というなら、できる民間やDVサバイバーの自助グループなどに繋ぐべきです。

今回の事件、誰ひとりこの怯えた母親に手厚い支援を差し伸べていないことが、心愛ちゃんを失った大きな要因であるのに、児相や学校、行政が責任を問われず、母親が逮捕されるとは!

現在日本の福祉の大問題には、なんでも「家族」に責任を押し付け、社会負担費を削ろうとしている点にありますが、まさに日本の闇をまざまざと見る思いです。

結局、こんなひどいDV事件の落とし所が、「母親なんだから。」「母親に子供の愛情があれば。」「母親が見殺しにした。」という母親神話。
日本は本当に先進国なのか?と、腹が立って仕方がありません。
何故、この母親が逮捕されるのか?心の底から疑問です。


編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2019年2月5日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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