山本太郎と小沢一郎は“偽装離婚”なのか?指標はあの党の動き

2019年04月11日 06:01

山本太郎参議院議員(東京選挙区)は10日夕、自由党を離れ、新党(法的には政治団体)「れいわ新選組」を結成する意向を明らかにした。

山本太郎氏Facebook動画より

選挙データ分析のプロ、JX通信社の米重克洋社長も述べるように、その政策も特定層を狙ったわかりやすい打ち出しだ。俳優時代に大河ドラマ「新選組!」に出演していたとはいえ、ふざけたネーミングの“新党”名は同日夜のツイッターで早くもトレンド入りするなど、世間はまんまと引っかかっている。

山本氏の国会議員としての数々の奇異な言動については今更振り返る必要はあるまい。今回も得意の炎上マーケティングを発揮してネットの話題を作り出すことには成功している。しかし、そのトリッキーな戦術の裏の意図を有権者は見抜かねばなるまい。

産経新聞が2月の時点でセンシティブなところを突っついているので紹介しておこう。

参院選東京選挙区、国民・自由合併の余波で「反原発票」争奪戦(産経新聞)

山本氏はゴリゴリの反原発・極左系マーケティングで売り出してきたが、1月下旬に自由党と国民民主党の合流話が出てからは、小沢一郎代表に配慮したのか、主張は明らかにトーンダウンしていた。産経の記事にもあるように、参院本会議の質問で原発問題を封印。国民民主党には電力総連が支援する議員たちがおり、自由党と国民民主党が合流するにあたって、明らかな障害の一つだった。もしこのまま合流すれば、国民民主党は支持基盤の不興を買うだろうし、山本氏にとっても左派色が強い支持層が離れる可能性は大きくなったはずだ。

小沢氏と本当に袂を分かったのか?

自由党サイトより

そういう意味では、今回の離党で、自由党と国民民主党の合流には一歩近づいたかもしれない。時事通信によると、離党は山本氏サイドから持ちかけたそうだが、裏舞台の密室の真相まではわからないし、合流プロセスの一環で何らかの取引があった可能性も捨てきれない。

いずれにせよ、まともな政治記者で額面通りに受け取った者はおるまい。結局、自由・国民が組む会派には残る意向というから、これでは小沢氏と“家庭内離婚”、いや“偽装離婚”を演じている疑いは残る。

ただ、疑念を述べる前に事実としては、山本氏は参院選は独自の戦いを展開して野党との競合も辞さない意向は示している。本人のブログでは、ある野党党首に聞いた話に基づき、

1人区以外は「野党は切磋琢磨」らしいので、
参院2人区に私たちが候補者を立てても、
野党共闘の足並みを崩すことにはなりません。
私たちも挑戦させていただきます。

と威勢はいい(太字は筆者)。寄付金を集め、1億円が集まれば、その自称新党から最大で10人の候補者を参院選に擁立するのだそうだ。

言葉どおりにガチで他の野党ととも戦うつもりなら、小沢氏との“離婚”が家庭内ではなく、迫真の別離だった事になるが、一連の離婚劇は、再選を控えた山本氏自身の勝ち残りから全て計算しているのは間違いない。その動向を見極めることが、ガチの“離婚”なのか、“家庭内離婚”なのか、それとも裏では、自由と国民の合流のために小沢氏と握っている“偽装離婚”なのか、有権者もメディアもこの離婚劇が茶番劇なのか見極めたいところだ。

小沢氏と山本氏が“偽装離婚”したかどうか判断するポイントは2つある。

まずは、本人以外に複数区で候補者を擁立できた場合の顔ぶれだ。ガチで議席を取りに行くつもりなら、それなりの知名度・当選の可能性がある候補者を立てるかどうかだ。山本氏の政治資金収支報告書によれば、前回選挙時に数十万円の寄付をした某女優など著名人が散見されるが、そうしたスペックの高い候補者を、国民民主、自由の公認候補者がいる選挙区に候補者を全く立てない、あるいは立憲民主、社民、共産の現職・重点新人候補がいる選挙区で、あえて「泡沫」候補を立てるのであれば、その「挑戦」は内実が伴わず、八百長色がにじむ。

ガチか偽装か“離婚”の内実を決める国民民主党の動向

前回は中核派にも「応援」された山本氏:中核派「前進」サイト旧版より

もう一つは本人の選挙に自由・国民民主がどう対応するかだ。

山本氏は選挙区を東京から比例に変える説も一時取りざたされていたが、今回、東京選挙区からの出馬を明言した。2013年の前回より定数枠は1増の6になっており、おそらく情勢調査もかけていて一定の手応えを感じているのだろう。

東京選挙区の山本氏以外の現職は、自民2、公明1、共産1。ここに立憲民主党から塩村文夏氏の参戦が決まり、主要政党で候補予定者を発表していないのは国民民主党と日本維新の会だけになっている。

山本氏が離党しなかった場合、自由・国民が合流した政党の公認、もしくは会派のみのゆるい合流になった場合「自由公認、国民推薦」の形となっていたはずだ。

少なくとも形式上は小沢氏と離れた今回の選挙は、シンプルに考えれば、知名度の高い現職であることから推薦という形で「相乗り」し、議席確保を手堅くめざすことになる。しかし、そうなれば当然トレードオフとなって、国民民主党は失うものも大きい。電力総連の不興どころか怒りを買うのはもちろん、山本氏から前回選挙でネガティブキャンペーンの標的にされ、落選した民主党元職のかつての支持層も国民民主党に敵愾心を募らせ、自民や立憲民主などに走ることだろう。

何よりも、国民民主党が本気で政権担当能力のある政党なのかどうか、都民の中道層がその「品格」に疑念を抱き、党勢低迷を加速させやしないか。しかし、逆に、国民民主党が東京選挙区で別の候補者を擁立して戦うのであれば、山本氏と小沢氏の“離婚”は真実味がそれなりに帯びる。

ここまで書いたことの成り行き、野党間、各野党内の水面下の神経戦を含め、首都・東京の前哨戦は令和改元を待たず一気に熱くなりはじめてきた。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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