韓国にWTO逆転敗訴:科学が風評に負けたのか?

アゴラ編集部

世界貿易機関(WTO)の上級委員会が11日(現地時間)、韓国政府による日本の海産物輸入禁止措置を差別的とした一審判断を破棄した判決を巡り、日本国内では一夜明けた12日、ネット上でも波紋が広がった。

WTO公式サイトより

ネット上では、韓国嫌いのネット民を中心に、

風評に科学が負けた国に負けてしまった

科学より風評の意見を取ったWTOはオワコン

といった反応が噴出し、豊洲市場問題のときに石原慎太郎元都知事が「科学が風評に負けるのは国辱だ」と述べた“名言”が再び引き合いに出されるかたちとなった。

国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の研究者で、物理学を専門とする伊藤民武氏は「国際的にはオシドリマコ氏の知性レベルが一般的なのだろう」と皮肉った上で、「この判決は科学的に間違っているので政府は十分に反論すべき。印象操作が上手ければ勝ちの様な世の中はダメだ」と強く反発した。

ただ、NHKの速報記事にもあるように、判決が覆った理由としては「第1審にあたる小委員会における議論の手続きが不十分だと判断したため」で、日本の海産物の安全性については判断に立ち入ったわけではない。菅官房長官も、この日午前の記者会見で「我が国の主張が認められなかったことは誠に遺憾だ」と述べながらも、

日本産食品は科学的に安全で、韓国の安全基準を十分クリアするものだとの1審の事実認定は維持されており、韓国が措置を強化した際に周知義務などを果たさなかったことを協定違反と認めた1審の判断も支持されている。したがって、わが国が敗訴したとの指摘はあたらない

との見解を示した(出典:NHKニュース、太字は編集部)。


これに先立ち、河野外相もツイッターで


などと判決を「解説」した。“逆転敗訴”という言葉が先行している印象が強いが、日経電子版の速報解説(※有料会員限定)が指摘するようにWTOの調停能力が低下した影響も含めて、判決の性格を「玉虫色」と評するのが適切かもしれない。

しかし、判決が及ぼす国際社会への実質的な影響への懸念は強い。河野外相のツイートに

WTOでも科学的に安全だと認定された事実を広く広報して、国内でも根強い風評被害を撤廃していく事が一番重要だと思う。

マスコミに正確に報道するよう言って下さい。

などと注文する人も相次いだ。

また、以前から指摘される、韓国の国際的なロビイング競争に日本が破れたのではないかという見方も続出。

あれだけ日本側の主張が正当化されてたのにここに来て逆転敗訴とはロビー活動の臭いがする
WTO敗訴は被災地への差別だよ

今後FTAとTPPで貪り尽くされる前哨戦。所詮日本の外交力や英語ロビー力はこの程度だ。

といったツイートが相次いだ。