平成は平和で良い時代だったという日本人への警告

2019年05月02日 21:00

平成はいい時代だったとかいう人々の声をテレビは伝える。この失われた30年(安倍首相の再登板以降については議論があるだろうが)をいい時代だったというのは、ひたすら遺産を食い潰して贅沢三昧を送るどら息子・どら娘の発想だ。

政府サイト、Wikipedia、NHKニュースより:編集部

それを、テレビが嬉々として疑問もなく伝えているようでは、この国に未来はあるまい。暗黒の30年から希望の未来を築くために気持ちを切り替えない限り地獄行きだ。

 平成の30年の総括は、『辛口の平成10大ニュース(世界・日本・皇室)』でしたしぜひまだの方は読んでいただきたいが、そのうちの日本についての総括部分を再掲すれば以下の通りだ(一部字句修正)。

明治から昭和の頑張りで日本は世界でトップクラスの経済力をもつ国になった。平成にあっては、その残り香のおかげで生活や文化の質は引き続き向上した。バブルは経済には深刻な爪痕しか残してないが、文化や生活は大分豊かにしたのである。問題は自分たちの幸福が前代の貯蓄の食い潰しであり、国際環境の変化への驚くべき無警戒の結果であることを理解してないことだ。

それでは、「平和で戦争がなくて良かった」のか?中国の軍拡や北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされるようになった危機的状況にあって何ということを言うのか。大規模テロも難民流入だってたまたま起きてないだけだ。

よかったといえる状況ではない。

平成が始まった頃は、レーガンなどの攻勢でソ連が崩壊し鉄のカーテンもなくなり、中国も北朝鮮もたいした脅威で無かった。大型テロもなかったし大規模難民も無かった。

平成は防衛力の整備を怠っているうちに平和と安全が危うくなった30年というのが正しい歴史認識だ。

1938年に今年は平和でよかったといってた極楽とんぼの英仏国民はいまや笑いもの。ペリー来航前夜の江戸市民も同じだ。平和が危うくなるのに無防備だった平成の30年として歴史は記憶すると思う。

 平成の陛下の在位30年の式典のお言葉には、「平成の三十年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちましたが」という一節があったが、私は強い違和感をもった。

平和を希求する強い意志」というのは、日米安保体制の堅持と深化に必死になって取り組んだ外交の成果と自衛隊や海上保安庁、そして治安を預かる警察官などの命をかけた努力の結果であると解釈すれば、それでいいのだが、なかなか国民はそれほど賢くないので後世の評価に耐えられるかは少し疑問を持った。内閣も了解していたはずだが、私はちょっと残念だった。

さらに、陛下の一連のお言葉なども、マスメディアはさらに歪曲する。退位のお言葉にあって「明日から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い」という一句があったが、「平和」と「実り多くあること」が並列関係になっており、そういう工夫がされたのだろう。それがNHKのニュースのニュースでは「平和を願われた」と要約していた。明らかに意図的改竄だ。

また、陛下のお言葉が短かったと偽リベラル系メディアには不満があるようだが、これまでのさまざまな式典におけるお言葉の標準的な長さである。

陛下のお言葉が内閣の輔弼の対象になるのも当然で、陛下に政治的な発言をさせたいとすれば、象徴天皇制を定めた日本国憲法のみならず、明治以来の憲政の終焉であろう。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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